保険代の見直しは効果的

やはり多少は切り詰めなければいけないのでしょうか。

大江:切り詰め感のあるような減らし方だとだめなんですよ。例えば、今まで週2回みんなで外食に行っていた。それを1回に減らすのは何となく切り詰め感がありますよね。だったらその代わりに保険をやめればいい。携帯電話のプランを見直せばいい。つまり、固定費を減らしてしまえばいいのです。

井戸:保険というのは、その人が何かなったら困るから保険に入っているのであって。退職後は多分もう困らないと思うんですよ。人間60~70歳ぐらいになったら、その人は死んでも、あるいは病気になったとしても現役時代に比べて困る人は少なくなるのではないでしょうか。だから死亡保険の必要性はぐっと少なくなる。

 医療保険も貯蓄で代用できると思います。差額ベッド代や高額治療費なども含めても、1回の入院でだいたい100万円あれば足りるでしょう。

大江:貯蓄なら使い道はたくさんありますが、保険に入ってしまったら用途が限定されてしまい、消えてしまいます。貯蓄に勝るものはないですよ。

井戸:子どもが小さいうちは死亡保険を厚くする必要はありますが、家族構成の変化やライフステージに応じて徐々に減らしていくべきですね。60歳過ぎたら死亡保険は相続対策を除いて、不要だと思います。日本人は保険に入りすぎている人が多いので毎月の保険料を見直せば結構効果があると思いますよ。

住宅購入はレバレッジ10倍のFX取引と同じ

井戸:あとは、老後にお金を回すためには、若いころから住居費になるべくお金を使わないようにすることが大事だと思います。例えば、年収の25%ぐらいの額のローンを組むとします。その額を毎月の支払い額に換算すると月収の3割超えてきますよね。そうすると、手取りの中で住居費が3割強。他の生活費のことも考えると、貯蓄する余裕なんてなくなりますよね。だから、住居費をいかに低く抑えるはとても大切です。

 人生の最後に一番お金がかかるのは「終の棲家」です。持ち家を売るのか、ずっと住み続けるのか、誰かが亡くなって、どっちかが介護になったら家はどうするのかとか。そこまで全部考えて買うか、買わないかと決めないといけないのです。

大江:家を買うというのは投資ですよ。それも、FX(外国為替証拠金)取引で10倍ぐらいのレバレッジをかける投資と同じことです。そうでしょう。だって、頭金10%ぐらいで、あとは全部借金でしょう。なおかつ、買った後の価格変動もすごく大きいじゃないですか。

 築20年を超えてくると、リフォームなどのコストもかかってきます。だから井戸さんがおっしゃったように、先々まで考えた上で買うべきかどうか判断する必要があります。もうちょっと勉強してから買うべきですよ。

井戸:そうです。私がよく言うのは「家のことは3世代先まで考えていく」ということ。親が一生懸命働いて買った家でも、20年、30年経つと一部の都市を除き資産価値がほとんどなくなる上に維持費などもかかってくる。となると、子供にとっては負債になるかもしれないですよね。だから、子どもや孫の代のことまできちんと考えて家は買わなければならないのです。

大江:そうですね。経済合理的に言えば、一番いいのは、やっぱり家は買わないほうがいいんですよね。家は買わずに、賃貸で住んで、そのかわり、ローンを組むよりは金融資産を増やす方向にしたほうがいいわけですね。いざとなったときには、そういう金融資産が十分あれば、これ以上強いものはないわけです。キャッシュ・イズ・キングですから。

 とは言うものの一方では、やっぱり家がある、ないというのは安心感が全然違うわけで。年を取ると、2人で住んでいるうちはいいんですけど、どっちかに先立たれると、一人暮らしはなかなか貸してもらえなくなりますよね。そういう意味では、どんなぼろ家でもいいから住むところはあったほうがいいという考え方もあります。そこはもう個人の価値観ともかかわる話ですから一概には言えません。