運用なんて一切考えない方がいい

えっ!150万円しかなかったのですか!!

大江:私の場合は色々な事情があって、退職時の預金そのものはそれぐらいしかありませんでした。でも私は企業年金制度のある会社に勤めていましたので、それがどういうもので、どういう仕組みになっていて、どれぐらいもらえるかということは把握していました。そこでほとんど預金はなくてもそれほど心配はないと思っていたわけです。もし私がそういう企業年金のない会社に勤めていたとしたら、多分もっと早くからいろんな準備をしてなきゃいけなかったと思いますけれど。

 あと、よく運用で老後資金を殖やすという話もありますけど、お金に働いてもらうよりも自分で働く方が確実ですよ。運用なんて一切考えないほうがいいです。考えるべきじゃありません。

 例えば、今、井戸さんの話で月10万円ずつ足らないという話がありました。1年間で120万円でしょう。120万円のお金を1年間で運用で稼ごうと思ったら、今の定期預金の金利水準で考えると120億円ないと120万円もらえないんですよ。ありえないでしょう、そんな話。株式投資だって不確実なものですし。働いて月10万円稼いだ方が手っ取り早いですよ。

 結局、高齢者というのは「お金がほしい」じゃないんですよ。「購買力がほしい」んです。だから一番怖いのはインフレです。インフレになると、いくらお金があっても物が買えなくなってしまうから。だから、運用は「インフレになっても十分に対応できるだけの購買力を確保する」ためのものと考えるべきですね。

年金が減るのは分かっていること

これからの年金給付は抑制の方向に動いています。今の若い人はもう少し早くから準備しておかなきゃいけないかなと思うんですけど、いかがですか。

井戸:年金制度そのものがなくなることはありえないでしょう。だけど、物価の動向によってはそのお金が持つ価値というのは変わる可能性は高いわけですよね。それも、急激なものではなくじわじわと変わってくる。

 だから、自分でちょっとずつこつこつとお金を貯めて、自分で年金みたいなものをつくっておくことが一番大事なのではないでしょうか。40代、50代の人は、今、稼げるときにちょっと将来のお金を先送りで貯めておく。それから、いつまでも働けるだけのスキルを持つことです。どこでも通用するように働くことを頭に入れて欲しいですね

大江:確かに年金は減る可能性はあるとは私も思うんです。だけど、年金というのは行列しているラーメン屋みたいなものなんですよ。並んでいる人が、ずっと並んでいたのに途中から「はい。ここまで。ここから先の人にはラーメンは1つもあげません」と言われたら、これは怒りますよね。暴動が起きますよね。

はい。

大江:そんなふうにはなっていないんですよ。どういうふうになっているかというと、みんな並んでいるんだけれども、「はい。ここまでの人は全部ありますけど、ここからの人はチャーシュー2枚が1枚になります。それでもいいですか」と。次は「チャーシューがなくなっちゃうんですけど、それでもいいですか」となって、最後はスープだけみたいな。わかりやすく言えば、そういうことなんですよ。

 要するに、途中でいろいろ制度が変わっていくことはもちろんあり得るわけですけれども、急には変わらないんですね。だって、これまでだって、年金の受給開始年齢を60歳を65歳ににすることを20年ぐらいかけてやってきたわけですから。

井戸:変化は徐々にやってきます。だからその間に、入っているお金が2割減、3割減になっても大丈夫な自分のシステムをつくっておくことに尽きます。