便利になってもリスクは要らない

Bさん:学生の話を聞くと、「リスクを負いたくない」という声がありました。

 私は50代で、子供は社会人になりました。子供には大学生の時に免許を取らせましたが、今、クルマには乗っていません。

 私たちが若い頃は、クルマを買って、彼女を乗せて、というのが目標というか青春(笑)だったわけですが、今の若い人たちは、わざわざクルマを自分で運転するようなリスクは必要としていなくて、どこかに行くなら電車で、あるいは家で一緒にゲームをやったりということでOKなんですね。

野地:そういうリスクを嫌う若い人たちにクルマに乗ってもらうにはどうすればいいんでしょう。自動運転で解決ですかね。

Bさん:リスクという意味では、自動運転は解決策になるかもしれませんが、そもそも「移動したい気持ちがある」というのが前提になりますよね。バーチャルリアリティーで遠くの風景が、まるでそこにいるように感じられるようになったとして、それでOKなら、わざわざ移動する必要はないわけで。

Cさん:私はBさんと同じ50代ですが、若い頃、女性とデートに行くときには、自分のクルマがないと話にならん! と頑張って買いました。ブランドものの服でばっちりキメても、レンタカーの「わ」ナンバーじゃカッコつかないぞ、ということで。

野地:「バブル臭が…」という若い人の声が聞こえてきそうです(笑)。

Cさん:(笑)。「わ」に抵抗がなくて、所有にこだわらなければ、今、クルマに乗ること自体のハードルは下がってきているんじゃないでしょうか。

 昔はレンタカーを借りようと思ったら、すごく面倒くさかったですよね。いちいち駅前の店舗まで歩いていって、いくつも書類を書いて、それだけで30分ぐらいかかっていた。それが今は登録しておけば、ネットで簡単に借りられる。駐車場にあるクルマを住人で共有して、予約すればちょっと買い物に行けるようなシステムが導入されたマンションなんかもありますよね。いわゆるシェアリングエコノミーの進展は「クルマ生活」的にいうと、便利な方向に進んでいる。

野地:確かに。

Cさん:それと、私はクルマに女性を乗せて走る意味は、もうひとつあるんじゃないかと思っているんです。

 クルマは移動手段ではありますが、2人で同じ方向を向いて隣に座って、2人だけの空間を共有して、2人で行き先を自由に決められて、というのは、2人の関係を親密にする特別な効果があるんじゃないかと。

野地:面白い。女性の方、どうですか。