僕らはムダが財産だったりして

野地:改めて、この本をビジネスパーソンはどういうふうに読めばいいですかね。

横山:標準の作業時間を調べるためにストップウォッチを持った人がそばに立って計る話がありますよね。

 自分がそこの作業者だったらやだなあとか、集中できないなあとか、なんだよ、と思うかもしれないんですけど(笑)、でも、そういうチェックをしっかりするから、ジャスト・イン・タイムが機能するわけですよね。一見、監視されたりしているようだけど、そうして現場が無理をせずに、しかも効率が上がる作業スピードを追求している。そのあたり、管理されるのは嫌だと反射的に突っぱねる前に、今、そこで行われていることの意味をちゃんと考えてみるとか、そういうことは大切だと思いましたね。

野地:ダブルジョイレコーズでもジャスト・イン・タイムを導入しますか。

横山:うちは8人の小所帯ですけど、時間をムダにしないで、ムダな残業はなくすとか、課題を明日に残さないとか、この本を読んで、自分たちでもできること、見直せることはあるなと思いました。

野地:僕も本を書きながら、やっぱりムダは無くしたほうがいいのかなと考えたりするんですけど。

横山:僕らはムダが財産だったりもして、ゴミ箱の中からなんかビビビッとくるものを見つけて拾ったりすることもあるので、必ずしも全部が全部、効率よくというのがいいわけではないんですけど。

野地:いろいろ思いもかけないことが刺激になったり、影響を受けたり。考えてみたら「わたしのカローラ」だって、テレビから勝手に流れていた歌が横山さんにビビビッときて、浜口庫之助さんからも影響を与えられているという。僕も思えばあれが初めてのボサノバだった。

横山:ボサノバ初体験。あの曲のすり込みはでかいですね。子供のときになんておしゃれな曲だと思いました。

野地:横山さんの曲でも、ボサノバっぽいのもいっぱい。

横山:あります。いろんなことが刺激になって、ムダなものも含めていろんな影響を受けながら、曲になっていく。

 というのはありながら、効率化すべきところはしたほうが、結果の数字がよく出たりもするんですよね。効率化というか、ちゃんとというか、丁寧にというか。自分のエゴとは別に、そういうことの大切さもありますね。

野地:コンサートも、本当に何回も練習して、ツアー中も毎回練習してるんですよね。で、ちょっとずつ変わっている。僕もある年、CKBのツアーの最初を見て、真ん中で見て、一番最後を見て、あぁ、ずいぶん変わるもんだなと。曲も変わってますよね。

横山:はい、トヨタで言うところのカイゼンですね。

野地:やっぱりそうしたほうがいいわけですか。

横山:そうですね。もう昨日より今日、今日より明日って感じにしていきたいという志だけは持ってないと、というのがあるんで、練習しては反省ばっかりですけども。

 やっぱりマンネリになるのはイヤだなという気持ちがあるわけですけど、同時に、でも、何かこう通底している一本のラインみたいなものがなきゃいけないとも思っていて。

 それがクルマで言えばエンブレムだったり、フォルムだったりというのだとすれば、CKBの場合は、20年前の「クレイジーケンバンド!」っていう声のジングルを必ずCDに入れて、ロゴマークを変えないとか。そういうので一本、通底していると、冒険していろんなところに飛んでも、また正道に戻れるという感じで、そういうのだけは続けてやっているんですけど。