時代の波

:いや、それはできなかった。自販が販売店に車を配分する権限を持っていたんです。トヨタが強かったのは、地場の資本を使って、販売店を作ったから。自販は動向を見ながら販売店に均等に配る。その役割だった。しかも、車が売れていた時代だから全然問題なかった。

 だんだん時代が変わってきたら、トヨタの販売が販売店にもうちょっと引きとってくださいと言うようになってきた。

野地:販売にも時代の波が押し寄せてきたということですね。

:車に限らず、小売店はどこでもカイゼンしなきゃ生きていけませんよ。だいたい家電だって、そうでしょう。昔はナショナルの専門店がいっぱいあったけれど、あれがどんどん量販店に変わった。家電専門店は量販店に食われて少なくなった。でも、今、量販店はネット通販に食われているわけでしょう。自動車販売も変わらなきゃならないんですよ。

野地:自動車はやっぱり車検とか修理とか板金とかあるからまだ販売店が頑張っている。

:うん、でもね、修理などの付属する商売、つまりバリューチェーンも切り崩されてきているんです。車検のコバックってあるでしょう。「45分で車検が終わる」。あれ、ベースを作ったのは我々、トヨタですよ。彼らが車検や修理のところだけを取って、そのままビジネスにしちゃった。

野地:なるほど。

:結局、販売まで含めた商流をしっかりネットワークで持っていたから強かったけど、そのネットワークがだいぶ切り崩されてきた。そこへ持ってきて今度はリースだとか、シェアカーとかさまざまな形態が出てくるから、販売店は時代の波にどうやって立ち向かうかを本気で考えないといけない。トヨタと一緒に、ね。