真似できるのか

トヨタ生産方式を学んだご経験から、実際、誰もが真似できるものなんでしょうか。

長島:本を読んだりとか資料を見たりとか、そういうことだけではやっぱりなかなか難しいだろうという感じはあります。

 例えば、ジャスト・イン・タイム、自働化という、トヨタ生産方式の柱となる概念について知って、その解説書などを読んだとして、それを具体化して、実際のカイゼンにどのように結びつけたらいいかは分からない。実際にトヨタ自動車の人に教えてもらう中で、「ああ、そういう意味か」とか、「なるほど、そう考えればいいのか」とか、気づくことが増えていったわけです。いろいろ教わりながら、自分たちも自分たちなりにいろいろ考えながら、そういうことを積み重ねていく。

 今、トヨタの販売店さんが約150社、それからダイハツの販売会社さんが約50社、合計200社ぐらいで「保険カイゼン」に取り組んでいますが、「こうすればすべて解決」なんてことはない。ずっと考え続けて、試行錯誤しながら、自分たちなりに少しずつ磨き上げているという形です。

カイゼンに取り組むにあたって注意していることはありますか。

長島:何のためにカイゼンするのか、その原点を見失わないようにすることでしょうか。

 ベースにあるのは、とにかくお客様にとって何がうれしいのかを考えること。これがまず一番だと思います。この本にも、ムダなく、ムリなく、ムラなくということの大切さが書かれていますが、それはすべて「お客様にとってうれしいこと」のために必要なわけですね。

 お客様にいろいろな保険のご提案をするに当たって、ムダな時間が生じないようにする。保険の内容も難しいことがあったりするわけですけれども、曖昧な説明でなかば強引に契約に持ち込むようなことは決してあってはならないですから、ムリなくご理解いただける説明の仕方をくふうする。そしてすべてのお客様にムラなくご満足いただけるようにする…。

しかし、お客さんの考え方もそれぞれ違うでしょうから、対応の仕方も一筋縄ではいかない。

長島:それは、人と人ですからね。いわゆる手際がいい説明に喜んでくれるお客様もいれば、ゆっくり1つずつ説明することで安心されるお客様もいます。

 商品を説明する側もそれぞれ得意分野がありますから、お客様の要望に合う人をマッチングするということも大切になる。

 要は、ただ形だけ真似してもダメで、上から言われたままにやるのでもダメ。なぜそれをするのか、本質的なところを現場の人間が理解することが重要なんだと思います。

リーダーがメンバーの長所をしっかり生かす。

長島:そうですね。でも、そのリーダーがいなくなったり、あるメンバーが異動したらサービスがガタガタになる、といったことでは困る。私たちがいなくなっても、販売店のサービスが変わらず高いレベルであり続けるには、やはり、リーダーやスタッフの育成がポイントになりますね。