日刊現代社長の寺田俊治氏は新刊『トヨタ物語』を読んで「トヨタの危機感」に凄みを感じた。そして、大野耐一さんの「叱り方」に衝撃を受けた。寺田流の読み解き方を『トヨタ物語』の担当編集Sが聞く。その後編。

■重版出来!『トヨタ物語
 トヨタはなぜ強いのか――その本質に迫る巨編ノンフィクション。日経ビジネス連載「トヨタ生産方式を作った男たち」に書下ろしの新章などを加えた圧巻の408ページ、ついに刊行。早くも4刷。日経BP刊

前編から読む)

寺田:衝撃を受けたのは、(トヨタ生産方式を体系化した)大野耐一さんの叱り方です。

 「相手が自分の子どもくらいの年齢であっても、情熱を込めて烈火のごとく怒る。こっちは怖くて、天地が逆になったんじゃないかと思うくらいでした」

 衝撃を受けました。

寺田俊治(てらだ・しゅんじ)
日刊現代社長/1959年、東京都生まれ、83年、早稲田大学第一文学部を卒業後、日刊現代に入社。「日刊ゲンダイ」ニュース部長、編集局長などを経て、2016年より現職。

 僕はそれほどまでに怒ったことってないんですよ。もちろん怒ることはあるけれども、若い人を相手に「烈火のごとく怒る」ということはない。

 そこまで怒るには、とてつもないパワーが要る。怒られた側から恨まれたりすることなんかもすべて脇に置いて、「天地が逆になったんじゃないかと思うくらい」怒れる大野さんの本気というんですか、これに驚きました。怒るって本当に覚悟も要るし、愛情も要る。いざ怒る時には、自分が怒ることに絶対的な確信がないとできませんからね。だから、こんなに怒れる大野さんは、本当にすごい。

寺田さんが若い頃は、それこそ厳しいスパルタ指導も受けたのでは?

寺田:そうそう、いろいろね。

 僕の経験でいうと、1983年に入社して最初、高校野球の取材に行ったんですよ。そのときに雑感みたいなのを夜中に書いて、朝、送ることになって。当時はファクスで原稿を送るんだけれど、1枚送るのに5秒ぐらいかかるんですよ。

今ならメールでポンと送れるけれど…。

寺田:それも、そのファクスは先輩が使っているので、僕は電話で送れと言われて。電話口でしゃべったのを、東京にいる先輩記者が受けて書いてくれるんです。

口述筆記。