林野さんと皆さんの予想は?

林野:トヨタが勝つと言ったのは私だけだった。

トヨタ嫌いだった林野さんが(笑)、なぜトヨタが勝つと?

「俺はここで働きたくない」

林野:普通に考えればあの頃、GMに勝てるなんて誰も思わない。でも、経営の数字を読み込むと、トヨタはしっかりと稼ぎつつ財布のひもは非常に堅い。それを徹底していた。それを続けて行けば、ひょっとしたらなんとかなるのではと…。しかし、トヨタが勝つと言ったら、仲間はみんな笑いました。「林野は常識がない」と。もっとも、何かを賭けたけど私も忘れてしまった。

でも、読みは見事に当たりましたね。

林野:当時は数字から考えたけれど、この本の230ページにこんなエピソードがある。工場を見学に来た他社の人たちが「トヨタは、すごい。でも、俺はここで働きたくない」と。

 要は、自分の会社にこれを持って帰っても、できっこない。大野耐一さんとその後継者の人たちがものすごい苦労をして現場に根付かせたトヨタ生産方式は、そのまま普通の会社に持って行ってやろうとしても、とてもできないということでしょう。

 それくらい、簡単に真似ができないことを徹底してやっていたからGMにも勝てたんだと、この本を読んで得心しました。

 企業として、そういう根本的な、背骨のようなものを持てるかどうか。それがあれば、たとえ挫折しても立ち直れる可能性がある。

しかし背骨がないと…。

林野:厳しいね。かつて日経ビジネスで「会社の寿命は30年」と分析していたけれど、いまはもう「寿命は15年」の時代。どれほど順調に見える会社も、例外なく厳しい場面に直面することを覚悟しとかなくちゃいけない。その備えをしっかりできた企業だけが次の15年を生きながらえることができる。

その備えとして、「トヨタの強さの本質」として本書で丁寧に描かれている「自分で考え、動く組織を作ること」は、今の時代にこそ求められているように思います。

林野:うちも一生懸命やっています。例えば…。

後編に続く)

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