クラシックなビールに

先ほどのモノづくりの現場でも、お客さんとの間でも、共通するのは…。

井手:コミュニケーションなんですよ。そもそも僕らの場合、最初は会社がうまくいってなかったので、もっといい会社にしたい、もっとチームで成果を出したいということで、まず社内の改革を始めた。そうした文化を育てながら、お客さんとのコミュニケーションを重視することを始めたんです。

 2年、3年と経つと、成果も出たし、社員も楽しそうに仕事をするようになりました。そして、なおも、もっともっとファンに楽しさを伝えようと、ファンが喜ぶことをさらにやったんです。社内のこと、お客様のこと、それぞれを大事にやっているうちに、やがてメーカーと消費者の垣根がなくなりつつあるのが僕らの会社の特徴だと思うんです。ファンの方は、自分たちとビールメーカーという感じではなく、「僕の好きなビールを作ってくれる仲間」みたいに思ってくれている。ありがたいことです。

確かに、井手さんほど身近なビール会社の社長はいません。

井手:僕らと接点があったり、ホームページとかフェイスブックとかツイッターとかでやり取りしたり、イベントに来ていただいている方は、うちのビールのことも、僕らのことも、ほんとによく知っている(笑)。

 たぶん車を愛する人も単純に乗り物だと思ってなくて、自分の大好きな分身みたいに思ってらっしゃるんじゃないかなあ。

その人の生活や人生のなかに、ちゃんとある感じ。そういう製品をつくるってすごいことですよね。

井手:僕らはまだまだですが、共感したのは、トヨタが初めての乗用車としてクラウンを出して、それがアメリカ市場ではまったく相手にされなくて、でも、今になってみたらクラウンは一番の代表作ですし、今もすごいブランドとして成り立っている。こういうのを見ると、僕らもいろいろビール出してますけど、「よなよなエール」をクラシックなビールにしたいと思ってしまいます。

 クラウンという車をずーっと改良し続けて素晴らしいブランドにしていったように、よなよなエールも、すごいブランドになっているといいなという夢を見ます。クラウンのくだりを読みながら、僕は自分たちの将来像を勝手にイメージしてしまいました。