大言壮語がいい

井手:いっぱいありますけど、やっぱりベンチャー魂です。前にも言ったけれど、何百倍ものシェアを持つアメリカの自動車会社に挑戦するわけでしょう。

 僕らヤッホーも今、何百倍ものシェアを持つ大手ビールメーカーを意識しながらやっているわけですから、豊田喜一郎さんの挑戦は心強いです。クラフトビールの世界では、僕らの「よなよなエール」が日本で一番売れています。「よなよな」を筆頭に新しいビール文化を作るんだと意気込んで、「何百倍」に立ち向かっている。

 普通は何百倍の同業を相手にしても勝てないと思い込むものだろうけれど、うちが頑張ってビールのバラエティを増やすことで、日本のビール文化が変わっていく。ビール好きの人にとって楽しい日本にしていきたいんです。

 僕たちはやればできると勝手に思ってやってきたのが、まあスケールは違いますけど、喜一郎さんも最初は同じだったんだなと思ったら、勇気をもらいました。

 僕らは大手ビールメーカーをこえようとはまったく思ってないですけど、でも、喜一郎さんを真似すれば、何十年後とかにはやっぱりできるかもしれない(笑)。

そういうことを感じてもらって、私も嬉しいです。いつかキリンやアサヒをぶっ倒してください。

井手:いえいえ(笑)。あとすごいなと思ったのは、アメリカに初めてクラウンを持って行ったけれど、アメリカの市場をわかってなくてこてんぱんにやられてしまう。でも、まずは唾をつけておくんだ、と。アメリカ進出とはどんなことかがわかることが重要なんだ、と。

 その大言壮語がいいですよね。うちの会社では僕が一番ほらを吹くとされています。大きいことを言うし、まあみんなもちょっとついていけないところがあるらしい(笑)。それでも、昔に比べると、スタッフがきょとんとすることは減ってはきているのですが、やっぱり大言壮語は必要だな、と。信念を持ち続けていくことですからね。

 あきらめずにやり続けていたら失敗じゃなくて、成功になるんだ。そういう気持ちは持っていた方がいいですね。僕は経営者なんで、僕が諦めちゃうと、経営は終わってしまう。僕が諦めずに、行けると思ったときにはとことん行っちゃうのが大事なんですね。

 トヨタは今よりずっと厳しい時代に、とてつもない挑戦をしているのだから、僕らも、もっともっと挑戦しなければと思いました。

後編に続く)