自分で部下をつくれ

張さんは生産調査部の時、今の林(南八・顧問)さん、友山(茂樹・副社長)さんのように、やはり協力会社にひとりで行かされたのですか。

:もちろんひとりですよ。

協力会社に行ったけれど、導入はイヤだと言われたこともあるのですか。

:それはありません。何百社かあるのですが、そこの社の社長が大野さんや鈴村さんを訪ねてきて、「やってください」というところだけなんです。やってほしいと言うから、我々は行く。

それでも現場に行くと、抵抗はあるわけですね。

:ええ、半年、1年は行きっぱなしで、しかも抵抗もあって。この本にもあるように「トヨタ帝国主義の先兵は成敗してやる」と追い回されたり…。下着を持って、会社の寮や旅館の離れに泊まるわけです。

下着の洗濯はどうするんですか?

:段ボールに詰めて、奥さんに送る(笑)。洗濯する暇なんてないんですよ。昼間は現場指導。夜になると、部屋にやってきて、勉強しながら酒を飲む。

 大野さんからは「自分で部下を作れ」と。協力会社に行ったら、「こいつがよさそうだ」「こいつはやる気があるぞ」ってやつを捕まえて、徹底的に教え込む。そうやって、仲間を増やしていくしかないんです。人を育てないと、トヨタ生産方式は広まっていきません。その後は自主研、TPS自主研を作って、最初は20社くらいだったかな。自主研究会ではひと月に1回ずつみんなでメンバー会社にカイゼンに行くわけです。人を育てるのがトヨタ生産方式には不可欠ですから。

1978年のトヨタ生産方式自主研究会。前列左が張氏、その右が鈴村氏(写真提供:トヨタ)