BRICsの一角として2000年代に急成長を遂げたブラジル。中国にこそ及ばないが、2003~2010年の8年間で年平均4%を超える実質GDP(国内総生産)成長率を謳歌した。特に金融危機後の2010年は7.6%という高成長を実現、ブラジルの底力を世界中に印象づけた。

 その原動力は、言わずと知れた中国向け輸出の急増と資源価格の高騰だ。

左派政権のばらまき政策で中間層も急増!

 鉄鉱石の埋蔵量は世界2位。沖合には深海油田が豊富に眠っている。内陸には農業に適した土地が広がり、大豆やトウモロコシの増産余地も大きい。2000年代半ば以降、中国の旺盛な需要によってコモディティブームが到来すると、資源国ブラジルは「量」と「単価」の両面で恩恵を受けた。

 格差の是正を前面に押し出したルラ前大統領が貧困対策に注力したことで、消費市場も大きく花開いた。「ボルサ・ファミリア」などの所得再分配政策や正規雇用の増加によって、2002年に38%だった中間層は2014年には60%まで拡大した。消費主導の経済成長を牽引したのは、厚みを増した中間層の存在が大きい。

 経済的なプレゼンスの高まりとともに国際社会での発言力も増した。2009年以降、ともにBRICsを構成する中国やロシア、インドと首脳会議を開催(2011年以降、南アフリカが参加)、2014年7月の首脳会議では世界銀行や国際通貨基金(IMF)の向こうを張って、新開発銀行の創設を発表した。

2年連続で3%を超えるマイナス成長

 だが、中国の減速と資源バブルの崩壊で、今では惨憺たる有様だ。

 IMFによれば、2015年の実質GDP成長率はマイナス3.8%、2016年もマイナス3.5%と大幅なマイナス成長の見込み。左派政権によるばらまき政策の影響で財政も悪化しており、大手格付け会社は相次いでブラジル格付けを投資不適格級に引き下げた。レアルの減価は著しく、2015年の対ドル下落率は30%に上る。

 景気後退に伴って、GDPの6割を占める個人消費も減退している。

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