1997年の創業から21年、日本の家庭の食卓文化をリードしてきた“フードテック”の老舗、クックパッド。その初期メンバーであり、現在は同社のブランディング部門を率いる小竹貴子氏が、気になるフードビジネスの新芽をピックアップし、現場を訪ねる。今回は、話しかけるだけで、その時の気分に合う音楽をかけてくれたり、ニュース記事を呼び出してくれたりと、生活に深く入り込んだ使い方ができるスマートスピーカーの中でも、「Amazon Echo(アマゾンエコー)」シリーズを展開するアマゾン・ジャパン。アレクサビジネス本部兼モバイルビジネスデベロップメントGM/本部長の柳田晃嗣さんに、料理とアマゾンエコーの関係について聞いた。今回はその後編(取材/2018年7月4日、構成/宮本恵理子)。

アマゾン・ジャパンのアレクサビジネス本部兼モバイルビジネスデベロップメントGM/本部長の柳田晃嗣さん(写真:竹井俊晴、ほかも同じ)
アマゾン・ジャパンのアレクサビジネス本部兼モバイルビジネスデベロップメントGM/本部長の柳田晃嗣さん(写真:竹井俊晴、ほかも同じ)

小竹貴子氏(以下、小竹):インタビューの前編では、「Amazon Echo」シリーズの中でも最新版となる「Amazon Echo Spot」を使って、どのようにレシピを検索し、料理を作っていくのかという流れを教えてもらいました(「 キッチンの流行は機能充実からカンタンに」)。

 「Amazon Echo Spot」を活用すれば、買い物もこれ一つで完結するんですよね。

柳田晃嗣本部長(以下、柳田):これまでのモデルでも可能でしたが、やはりディスプレイで商品画像をパッと見られるようになった違いは大きいと思います。

 アメリカでの利用状況を見ていると、水や調味料といった定番商品であれば、音声と画像だけのやりとりで抵抗なく購入しやすい傾向はあるようです。

小竹:国によって使い方の違いってあるんですか。

柳田:多少ありますね。例えばドイツの場合は、照明や家電のコントロールセンターとして使う人が多い傾向があり、アメリカだと音楽や映像などのエンタメ寄り。日本は、ニュースチェックの利用が多いのが特徴的かもしれません。

 これまでだとテレビやラジオをつけないとできなかった朝のニュースチェックが、「アレクサ、今日の運行状況を教えて」と話しかけるだけで済む。もし電車が大幅に遅れていると分かったら、家族に電話をかけて「パパ、山手線が止まっているみたいだからリモートワークに切り替えたほうがいいかも」とすぐに知らせる。

 この一連の動きがすべて、声だけで、料理のときに手を動かしながらできるという点に、利便性を感じてくださっている方は多いようです。

小竹:クックパッドも国別の利用傾向の違いがだんだん分かってきて、面白いんです。

 その違いは、よく検索されるキーワードに表れていて、日本だと「簡単」「便利」が目立つのに対して、ヨーロッパは昔から伝わるレシピを探す利用者が多かったりします。逆に東南アジアでは、インスタ映えするような新しい料理を探していたりする。

 同じプラットフォームを世界各国で展開すると、利用者が今求めている料理についての考え方の違いが見えてくる面白さがありますよね。「Amazon Echo」シリーズの開発は、国ごとに責任者が置かれるんですか。

柳田:そうです。アメリカで開発された英語のスキルをそのまま日本語訳して使えるかというと、そうではありませんので。スキルのほとんどが、日本製の日本独自のものです。

小竹:日本ならではというものはありますか。

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