削り節でだしを引いた後になぜ顆粒だし?

小竹:洋服を買いに来たついでに立ち寄れる気軽さもありますね。近くにある「日本橋だし場 はなれ」では、より本格的な料理を味わえるということで、行列ができるほどの人気だと聞きました。だしのテースティングバーは、羽田空港など出店を広げています。

高津:訪日外国人にもだしを味わってもらう機会になればと考えました。空港職員の人なども常連となってくださっているようです。

小竹:フライトの前後にホッとする味なのかもしれないですね。だしそのものの展開にも高津社長は積極的なのでしょうか。

高津:世界にだしを売り込むことで、可能性はまだまだ広がると考えています。といっても、私たちが世界に目を向け始めたのはごく最近のことです。正直、数年前までは、ほとんど何もしていませんでした。

 もちろん、何十年も前から、だしそのものは輸出していました。けれど、現地で誰に、どのような形で売られているのかというリサーチはできていなかった。私が社長に就任してから、「海外でもきちんと営業していこう」という方針を打ち出し、売り上げ比率で1%だったところを、ようやく2%まで増やした段階です。本当に、まだ始まったばかりなのです。

小竹:重点エリアは。

高津:最も多い輸出先は北米で、全体の7割くらいがアメリカです。和食レストランに削り節やつゆを提案することを強化しています。売り上げの主力はつゆで、うどんやそばのつゆのほか、天ぷらを出す時に使ってもらっています。一定量のバランスさえ守れば味がブレない点が支持されています。

小竹:海外ではどういう味付けをしてきたのでしょうか。

高津:そこは結構めちゃくちゃです(笑)。師匠についてしっかり教わった人も中にはいますが、削り節でだしを引いた後になぜか顆粒だしを入れたり……。アメリカで人気の寿司メニューで「スパイシーツナロール」というものがあって、マグロの身を中華風の少し辛みのあるソースで味付けて巻いたものなんですが、「そのソースに少しつゆを加えるとマイルドになりますよ」といった提案をしています。

小竹:日本食の原型にこだわらず、現地に根付いた料理にアプローチしているのですね。英語表記のラベルを付けていいますが、これも海外向け商品ということですね。アジアはこれからでしょうか。

高津:アジアは家庭用がメーンでしたので、これから業務用を強化していこうと思っています。

(後編に続く)

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