デイサービス“らしくない”部分が受けている

小竹:入室してすぐにコーヒーを勧められたりするなど、“もてなし感”も心地いいですね。利用者はみなさん、とても穏やかな表情です。介護の現場では、お年寄りに赤ちゃん言葉を使って自尊心を傷付けるといった問題もあると聞きます。けれど、ここでは利用者に対して、「○○様」と、お客様として接しているのですね。すごく新鮮です。

神永:ありがたいことに、「通うのが楽しいから」と継続利用する人が多くいらして、長い人だとオープン当初から2年半、参加し続けている人もいます。夫婦で参加しているケースもあります。

 利用者の家族からも、「近所の人に、親をデイサービスに通わせているとは少し言いにくいけれど、『料理教室に行っている』だと罪悪感がない」といった声をいただいたりもします。

 「○○デイサービス」と書かれている車を自宅前に停めたくない、という人もいると聞くのですが、当事業所が送迎に使う車には「なないろクッキングスタジオ」という名前です。そういった“らしくなさ”が喜ばれているようです。

小竹:男性の姿もちらほらありますね。ハッとしたのは、さきほど車椅子でいらした女性が、髪をきれいに編み込みしていたことです。女性の皆さんはお化粧をして、この時間を楽しみにされていることが伝わってきます。

神永:その車椅子の方は、高次脳機能障害で半身麻痺があって、失語症もあるんです。講座中は筆談でコミュニケーションしています。

 実は、その隣で背筋を伸ばして快活に会話をなさっている女性も、通い始めた当初は同じように高次脳機能障害があり、半身麻痺がある要介護5の状態だったんです。ここに通ううちにみるみる機能が回復して、今は要介護2くらいになっています。

 以前は、交通事故で障害を抱えた高校生も、機能訓練のためにいらしたことがありました。週2回3カ月間通って復学を果たしていました。最初は言葉のろれつが回らず、長ネギを均等に切ることもままならなかったのですが、3カ月後にはタマネギを難なくスライスできるようになって。同時に、真っすぐ立つといった全身のバランス感覚も整っていったようです。

小竹:すごいですね。

神永:ここは要介護1~5の認定者が対象になるのですが、通って機能回復した結果、要介護状態ではなくなった人からも、「また来たい」というご要望があるほどです。うれしい悲鳴ですね(笑)。

小竹:今日はどんな料理をつくるのでしょう。

神永:メニューを読み上げると、「アスパラと大山鶏の玉子炒め、真ダコとキュウリのピリ辛中華、黒豚バラと筍のごつごつ焼売、きくらげと金華ハムの中華スープ、海老レタスチャーハン」。すべて、当社のスタッフと専属シェフが開発したオリジナルの献立です。

小竹:かなり本格的ですね。先ほどから講義が始まりましたが、大山鶏や金華ハムなど、こだわりの食材の説明も丁寧にされています。シニア層の知的好奇心も刺激しそうです。それに、高齢者の食事にはつきものの、塩分やカロリーの話を一切しないのも意外です。

神永:とにかく、美味しいものを楽しみながらつくってほしい。そのコンセプトを大事にしています。