本邦初公開!「スマートプランター」の実態は?

芹澤:1955年に日本で初めて和製英語の「プランター」を発案し、長方形の植物栽培容器を世に出したのが、僕の祖父です。1964年の東京五輪を機にカラーテレビ放送を通じてその存在が知られるようになり、爆発的に世界中に広まりました。当時は地植えではなく、持ち運び可能な栽培容器というのは画期的で、「ベランダ菜園」というカルチャーが生まれた発端となりました。

 プランティオの創業は2015年。ちょうど60年前に祖父が生み出したプランターに、現代の最先端テクノロジーを搭載して、もう一度、身近な農を生活に取り戻そうという挑戦をしています。

小竹:どんなテクノロジーを搭載される予定なのでしょう。

芹澤:まず、ソーラーパネルなので電源はいりません。6時間充電で、大体20〜30日ほど駆動するので、基本的にはベランダに置いておくだけでずっと使える仕組みです。そして、ブルートゥースとWi-Fiが入っていて、インターネット接続してデータを飛ばせます。

 野菜を育てるために大事な指標を取るセンサーも3つ付いています。土壌水分計と土曜温度計、外気温計。土の中の水分量と温度、そして外気の温度を測ります。

 植物を育てるのに重要な3つの測定値を測定して、その相関関係をAI(人工知能)に学習させていきます。完全防水でカメラも付いている。試しにテスト栽培中の野菜を遠隔で見てみましょうか。(スマホの画面を見せながら)こちらが、都内の調布で栽培中のメロンです。

小竹:メロンまで栽培できるんですね。

芹澤:ミニゴボウも収穫できました。拡張機能もあって、縦に2つつなげて深さを出せば、人参や大根のような長さのある根菜も栽培できるようになります。

小竹:この六角形にも意味があるのでしょうか。

芹澤:2つ以上のプランターをつなげて敷き詰めやすい形にしています。一番大きな特徴が底部の構造なのですが、小竹さん、本物のプランターを見たことはありますか。

小竹:本物というと? 私が見てきたプランターは違うのでしょうか。

芹澤:実は現在、安値で流通しているプランターの多くは“本物のプランター”とはかけ離れているんです。祖父が発案したプランターは、水と空気が循環する「底面給水」というシステムを備えていて、底が二重構造になっています。水が下に貯まるようになっているんですね。

 貯まる水の量は、上の土を10とした場合に1の割合。この10:1のバランスが守られて初めて水が気化して、土が柔らかく保たれるんです。土が柔らかく保たれなければ根が張らないので、植物が枯れてしまう。「何度やっても枯らしてしまう」という人は、プランターに原因がある場合が多いんです。

 底部に水が貯まったままだとバクテリアが増殖して土によくないので、穴からホースで新しい水をザーッと入れて、古い水を排出させることも必要。この時に空気も一緒に入るので、フレッシュな水と空気が土の中に循環する。

 この仕組みが土壌の水脈と同じなので、簡単に言うと、地植えをそのまま小さく再現できる。これが“本物のプランター”で、この環境であれば、野菜はスクスクと育ってくれるんです。

小竹:知りませんでした。

芹澤:今後、搭載していく機能としては、長期不在中での水やりができるユニットや、天候不良にも対応するLEDユニットを考えています。プランターのデザインも着せ替えパネルにして、自分好みにカスタマイズできるようにするつもりです。

小竹:楽しいですね。

芹澤:位置情報と天候情報を学習させて、「午後から雨になるので、ひさしの下に置いてください」などとスマホにメッセージを届けたりすることも考えています。デジタルデータを蓄積しながら、AIがその環境に最も適した栽培条件を学習していくので、栽培するほどに野菜がよく育つようになっていきます。

(後編に続く)