気象情報で家庭の食卓が変わる!

小竹:食品メーカーの取り組みに比べると、まだまだ足りない感じですね。食品のサプライチェーン全体の効率化は、これからぜひ頑張っていただきたいところです。

 また意外に思うかもしれませんが、こうした情報を料理の主な作り手である主婦が活用できると、さらに可能性が広がると思います。気象データを基にした、より具体的な献立の提案までできると、例えば「来週は気温がこんなに下がるから、子どもが風邪を引かないように、体の温まる献立を考えようかな。ショウガを多めに買っておこう」といった発想ができるので、家庭のフードロスも減らせるし、上手に節約もできるようになるはずです。

 「“食中毒注意報”が出ているから、冷蔵庫の設定温度を下げておこう」とか、家電メーカーも巻き込んだ、キッチン改革も可能です。料理を楽しみながらフードロスも解消できる献立の提案は、クックパッドとしても、ぜひ取り組みたいところです。

吉開:今はまだ手探りで導入していただいている企業がほとんどですが、これから成果をどんどん出して、「ないと困る情報」になるよう頑張ります。今はフードロスの問題を解決することを中心に据えていますが、「マーケティングに活用したい」という問い合わせも増えています。

小竹:ある時点で一気に変わる気がしますね。気象データを導入しない企業は食品業界で置いていかれる。そんな時代もそう遠くない気がします。

(写真:竹井 俊晴)

小売りやメーカーが気象予報士を雇う時代に

吉開:食品業界以外でも、例えばドラッグストアやコンビニなど、この事業を通じて初めて、いろいろなほかの業界の方々と話す機会が増え、個人的にも楽しんでやっています。

 逆に言えば、それだけ「気象」がビジネスと交わってこなかったということです。これからはどんどん距離を縮めていきたいと思っています。

小竹:気象予報士の皆さんの活躍の場が増えるといいですね。データ活用の橋渡しをする知識を身につけて、コンサルティングできる人が増えるといいなと思います。

吉開:個人的には、小売業や食品メーカーでは1社に1人、気象予報士が活躍できるようになるといいなと思っています。

小竹:機械学習は取り入れていますか。

吉開:はい。需要予測で必要になるのは、気象データだけでなく、曜日や価格、立地など、様々な条件の組み合わせです。そのため従来の分析方法では限界があります。今後もさらに変数が増えていくことを考えると、やはり予測の高度化を助ける機械学習の導入は不可欠です。現在は、研究機関の助言をもらいながら、進めている段階です。

小竹:楽しみですね。様々な業界と連携しながら、切磋琢磨している様子が伝わってきました。フードロス解消という大きな社会課題解決のために、気象データを活用する取り組みには、これからも注目していきます。

【小竹メモ】

 クックパッドでも、レシピ検索データを活用して、食品メーカーに対して「メニュー提案」をサポートするサービスを展開しています。今回の気象協会のお話も、生活者目線という点で、非常に近く感じました。向かっている未来は、より生活者視点に立って社会問題を解決することです。

 一方で、なかなか解消されない家庭でのフードロス問題には、どのように対処するのか。これについては余りものを使いこなすレシピを提案をするのと同じくらい、「買わせない」提案も大切なのではないでしょうか。そして後者の方が、現代のライフスタイルにマッチするのではないかとも感じています。これからの進化が楽しみです。

(写真:竹井 俊晴)