その秘密の1つは、前述のように「売れ行きの状況を常に視聴者に伝えること」。

 人は「皆が好きなもの」だけでなく、「希少性が高いもの」を好む傾向にある。在庫が刻一刻と減る表示や、ナビゲーターの言葉を聞いて「早く買わないと二度と手に入らないかもしれない」と言う思いに駆られる。思わず電話を手にしてしまう視聴者は少なくないだろう。

 スタジオで感じたもう1つの売れる秘密は、「番組進行の効率のよさ」。想定外の動きもある生放送にも関わらず、とにかく効率よく次々と商品を紹介していった。視聴者が離れる隙なく、次の商品が出てくる。

 そしてもう1つ、「ナビゲーターの親しみやすさ」も大きいだろう。

 QVCの場合、大まかな流れは決まっているものの、基本的に台本は一切ない。ナビゲーターがその場で感じたことを、そのまま視聴者に伝えている。現在QVCには25人(犬も含む)のナビゲーターがいるが、アナウンサー出身者やテレビ局で働いていた人は意外と少ない。会社の営業マンや警官、レーサー出身のナビゲーターもいると言う。テレビの中の人、と言うよりは身近な友人のような親しみやすさがある。

人気ナビゲーターの河口美和さん。ナビゲーターチームの取りまとめもしている(写真 都築 雅人)

 「売るための殺し文句よりも、画面の中に視聴者を徐々に引きこむことが大事です」

 河口美和シニアナビゲーターはこう話す。テレビの向こうにいる視聴者に、あたかもスタジオの中にいるような疑似体験を与えることがナビゲーターの役目。そのため、「視聴者にとって友達のような身近な存在」でいること心がけており、「共感や信頼を持ってもらうことが最も重要」(河口ナビゲーター)と話す。

 

鍵にぎる「指令室」

 スタジオを見学していて疑問に思ったのが、誰が撮影をしているのか、ということ。スタジオに5~6台カメラがあるのだが、カメラマンは一人もおらずリモートコントロールで動いている。疑問はそれだけではない。どうやって生放送中のナビゲーターに、視聴者からの入電状況や商品の在庫状況を伝えているのだろうか。

 この疑問を解決する、いわば「指令室」のような部屋が別にあった。