物心ついた時からIT(情報技術)が身近にあったデジタルネーティブ世代。スマートフォンを販売担当者の育成の手段として使いこなす動きが出てきた。
携帯電話販売ショップを全国に160店展開するピーアップは研修にスマホを使っている。2人1組で空き時間を見つけて、販売スキルを磨くために模擬接客に励んでいる。その様子をスマホで撮影し、動画共有システムへ投稿する。全社員で共有できるため、研修担当や経営幹部は本社にいながらにしてスタッフ全員の習熟度合いを確認できる。
携帯ショップは携帯本体だけでなく、固定回線とのセット販売の提案のほか、最近では米や水など幅広い商品も説明しなければならない。
店舗には社員以外にアルバイトも多く全員が理解できているのか、どう確認するかが課題だった。
これまでの研修は各店舗から代表者が参加して集まり学ぶ。彼らが店舗に戻り指導役となっていた。その状況を育成担当者や経営幹部が定期的に巡回していた。川名廣季副社長は「アルバイトの接客をみれば、店長がしっかり指導しているかどうかわかる」という。指導が行き届いている店舗は動画の投稿件数も多く接客水準が高いため、売り上げも良いという。

ピーアップが採用した動画共有システムは投稿された動画を採点しコメントできる。見習うべき動画は見本として全社員で共有できる機能もある。「youtube(動画共有サイト)と使い方は変わらない。普段から使っている若者には抵抗がなく、特に使い方を教えることもなく活用している」(川名副社長)。
ピーアップが採用した動画共有システムはTANREN(東京・千代田)が開発した。TANRENの佐藤勝彦社長は約15年間、携帯電話販売をしていた。佐藤社長が困っていたことを解決するために開発したものだった。佐藤社長は「携帯電話だけでなく対面販売の商売であればどの業態でも活用できる。フィットネスや飲食など様々な業態から引き合いが多い」という。
週報も動画
スマホの動画機能を活用した販売力向上を目指す企業はほかにもある。格安携帯電話を販売するアップサイドがスマホの動画機能で磨いているのは雑談力だ。アップサイドの木村友貴社長は「購入意欲が低い顧客の足を止めるには会話の流れが重要。興味をそそる面白い話ができるかどうか」と話す。アップサイドの店舗は大型ショッピングセンターに入居していることが多い。ほかの目的で来店している顧客に携帯電話の乗り換えを提案しなければならない。だからこそ雑談力が大事なのだ。
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