米国最南端の町、ブラウンズビル。メキシコ国境に隣接する町には国境のフェンスが既にある。もっとも、両国を隔てるリオグランデ川から離れたところに建てられたため、実際の国境とフェンスの間に取り残された住民も少なくない。彼の日常生活に支障が出ないよう、道路のところはフェンスが切れている。フェンスの目的が不法移民を阻止することだとすれば、その効果は全くない。
「米国第一主義」というスローガンの下、トランプ大統領は雇用の国内回帰と治安の強化を推し進めようとしている。その政策を支持する米国人は一定数、存在する。それでは、国境に住む人々はどう感じているのか。 「フェンスの向こう側」シリーズ5回目は、ブラウンズビル(米国)の対岸の町、マタモロス(メキシコ)で人気レストラン「Garcia's restaurant bar」を経営している親子に意見を聞こう。
(ニューヨーク支局 篠原 匡、長野 光)
(フェンスの向こう側 Vol.1 / Vol.2 / Vol.3 / Vol.4 から読む)
フェンスの向こう側 Vol.5 レストラン・ガルシア
Raul Garcia(ラウル・ガルシア)
Manuel Garcia(マヌエル・ガルシア)
レストランなど経営
過去10年を振り返ると、最初の8年は客足が減少しましたが、ここ2年くらいはだいぶ戻ってきています。麻薬カルテルの抗争でマタモロスが特に危ないという噂が広がったことがとにかく大きかったですね(参考記事「パトカーが先導する『死のハイウエー』、メキシコ」 毎日新聞)。マタモロスだけでなく、国境の町はどこも危険でしたが、メディアが危険性ばかりを声高に語ったんです。そういう話が、ここ2年でようやく落ち着いてきました。
「銃撃戦なんて一度も見たことはありませんよ」
噂ではなく事実ではないかって? 確かに、ここから10マイル(約16キロメートル)、20マイル離れれば危ないところもあるかもしれません。ただ、私たちの店は国境のゲートからあまりに近いので、麻薬カルテルが銃撃戦を始めるなんてことはまずない。私の家族はマタモロスに住んでいますが、銃撃戦なんて一度も見たことはありませんよ。
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