リーバー:トランプ大統領が何を成し遂げられるかということを考えるときに重要なのは議会との関係です。議会との関係がよく、コンセンサスが得られれば、トランプ大統領は多くのことができる。一方で、彼のしたいことに議会が協力しなければ、トランプ大統領は何もできなくなる。この政権の成功や失敗を考える時に重要なのは、議会との関係で何が起きるかということです。

 彼は議会のコンセンサスを得ることができるのか、彼は議会共和党をまとめあげることができるのか。政権の不安定さとコミュニケ―ションにおける問題、政策の選択に関してはっきりとしたガイダンスを提示する人がいないという事実は、共和党が多数派を占める議会が彼らの政策目標を成し遂げられないということを意味するのか、などなど。こういった疑問はこれから明らかになっていくと思いますが、政権全体としては現時点で7点はつけられるのではないでしょうか。

個別の政策についてもう少し詳しく教えてください。足元を見ると、オバマケアの撤廃と置き換えに時間がかかっているように見えます。

リーバー:オバマケアはコンセンサスがまだないため、大きな試練に直面しています。ただ、厄介な状況にはありますが、代替案がコンセンサスを得られる可能性もあり、私としては外部から見るほど悪い状況ではないと思っています。次の2~3週間で撤廃・置き換え法案は下院を通過すると思います。上院は下院とは選挙区などで事情が異なりますので、もう少し時間がかかるでしょう。

国境調整は通せないが、法人税25%減は可能

トランプ大統領が公約している大規模減税はどうでしょう。トランプ大統領は法人税15%、ライアン下院議長は20%の実現を目指しています。

リーバー:両者の数字は大きすぎると思います。今の35%という法人税を考えた時に、1%の法人税が下がるごとに10年間で1200億ドルの税収を失います。仮に法人税20%とすれば1.8兆ドルですよ。これは大きすぎる。ただ25%程度であれば十分に達成可能な数字だと思います。共和党には財政赤字を心配しているメンバーもいますが、この辺であれば達成可能でしょう。それでもトランプ大統領の政治的勝利になると思います。

ライアン下院議長など下院共和党の執行部が提唱している国境調整なしでも大規模減税は実現するでしょうか。

リーバー:まず国境調整が議会を通る可能性は低いと思います。共和党の議員は国境調整をガソリン税、つまり消費者に対する新たな課税、あるいは彼らが最も嫌忌する新たな関税と見なし始めていますので、本当に難しい作業になると思います。確かに、国境調整が導入されれば大幅な減税が可能になりますが、25%でも十分に勝利だと言えますので、それ以上税率を引き下げる必要はないと思います。

 国境調整がなくても、トランプ政権は政府債務の拡大を通して減税を実現させると思います。確かに共和党には、とりわけ下院には財政赤字の拡大に制限をかけたいと考える財政タカ派がいます。一方で、減税をまず実行して、その後に財政支出の削減を実行するという順序でもいいと考えている共和党議員もたくさんいますので。

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