議会演説に臨むトランプ大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 2月28日、ドナルド・トランプ大統領は米議会上下両院合同本会議で初めての施政方針演説に臨んだ。いつもの暗いトーンではなく、抑制の効いた比較的ポジティブな内容だった。民主党やメディアへの批判も封印するなど、国民の結束を訴えたものだった印象だ。メディアの評価も好意的なものが多い。米ワシントンポストは今回の演説のWinners/Losersをまとめた記事で、トランプ大統領をWinnersの筆頭に挙げている。

自身の政権運営には「A」評価

 トランプ大統領は自身の政権運営に「A」評価を与えているが、発足以来、拙速な大統領令や側近の辞任、メディアとの対立など様々な物議を醸している。今回の施政方針演説はカオスと化している現状をリセットする重要な機会だと捉えられていた。有権者や議会に広がっていた統治能力に対する不安の払拭につながった点において、今回の演説は一定の成功を収めたと言える。

 もっとも、南部国境に壁を築くという主張は相変わらず。現状の自由貿易体制が米国にフェアではないという見方も引き続き披露している。スキルを持つ移民に対しては態度を軟化させている感はあるが、トランプ大統領の主張の根幹部分は変わっていない。

「国境税調整」への言及はなし

 また、企業関係者や市場参加者が切望していた具体案に対する言及もほとんどなかった。例えば、税制改正に伴う国境税調整に対しては触れなかった。

 国境税調整とは、輸出と輸入で経費算入の基準を変えるというもの。下院共和党が従来から温めていたアイデアだ。簡単にいえば、米企業が輸出する場合は輸出売り上げを課税ベースから控除できる一方で、原材料などを輸入した場合は輸入仕入れ高を経費として認めない。法人税率が20%だとした場合、輸出高の20%を補助金として受け取り、輸入高の20%を関税として支払うのと同じような効果が得られる。