ダイアナ:フェンスの話が出てから、少しずつ客足が減っていきました。フェンスができて急にビジネスが悪くなったのではなく、少しずつ、少しずつ減っていったんです。私たちのビジネスは会員の年会費がすべて。あんなところにフェンスができたら営業どころではないだろう、もう会員になるのは止めよう、とみんな思ったのでしょう。そうやってビジネスがダメになっていきました。

ダイアナ・ルシオ氏。「国境のフェンスでビジネスが破綻したのはここだけだと思う」 (写真:Miguel Angel Roberts)
ダイアナ・ルシオ氏。「国境のフェンスでビジネスが破綻したのはここだけだと思う」 (写真:Miguel Angel Roberts)
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ロバート:あの土地はすぐ隣のテキサス大学の敷地でリースでした。ただ、クラブハウスなどゴルフ場のインフラ投資は自分でやっていましたし、2032年までの長期のリース契約を結んでいました。なのに、フェンスが建設される直前まで、どこにどういうフェンスが建てられるのか、詳細な情報は提供されなかった。テキサス大には怒りましたよ。なぜ教えてくれないのか、と。

 具体的な場所が明らかになったあとも、国土安全保障省やテキサス大、地元自治体に何度も相談を持ちかけました。なぜ川沿いではなくゴルフ場を遮るようにフェンスを建てるのか。計画の変更はできないのか、と。でも、状況は全く変わりませんでした。

ダイアナ:上院議員がテキサス大のお偉方とゴルフコースを見に来たこともありましたが、ほんの数分で行っちゃいました。彼の中でもう答えが出ていたんでしょうね。

 フェンスの話が持ち上がる前に、私たちはお金を借りて施設をアップグレードしていたんですよ。銀行の方も話していましたが、国境のフェンスでビジネスが妨害されて破綻するというのは、後にも先にもここだけじゃないかって。農地をフェンスで分断されるなど農家も悪影響を受けていますが、農家以外では私たちが唯一、直接的な被害を受けたんじゃないかな。

閉鎖されたゴルフ場。奥にクラブハウスが見える
閉鎖されたゴルフ場。奥にクラブハウスが見える
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ロバート:ゴルフ場を経営しているときは不法移民がコースをよく横切っていたよ。2人、3人というのではなく、10人、20人とひとまとまりに来るんだ。子供を抱えた母親を見かけると、サンドイッチや飲み物を与えたものだよ。

ダイアナ:大統領は壁を作ろうとしているけれど、完全にお金の無駄だと思う。機能しないわ。19フィート(約5.8m)のフェンスがあっても人々は乗り越える。壁で守るのではなく、国境警備隊の人数を増やすべきです。

ロバート:フェンスのおかげで、あの場所は“No Man's Land”になった。住むこともビジネスもできなくなった。フェンスも壁も間違っている。それだけだよ。もし大統領が不法移民を止めれば、あらゆる仕事が労働力を失うよ。レストラン、ホテル、ゴルフコース…。

ダイアナ:ナニーもね。彼らの存在なしに米国経済は成り立たないわ。

人口が増加しているブラウンズビルでは住宅建設が盛んだが、移民流入にストップがかかれば、ルシオ夫妻を襲ったような逆風は吹き付けるだろう (写真:Miguel Angel Roberts)
人口が増加しているブラウンズビルでは住宅建設が盛んだが、移民流入にストップがかかれば、ルシオ夫妻を襲ったような逆風は吹き付けるだろう (写真:Miguel Angel Roberts)
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