共和党や議会の中で人気の高い、ペンス副大統領

 実際、フリン氏の辞任劇では同氏が「不完全な情報」を関係者に伝えていたということがペンス副大統領にシェアされず、フリン氏の説明に基づいて最後まで擁護したペンス副大統領は赤っ恥をかいた。この件でペンス副大統領は激怒したと報じられている。ペンス氏は共和党、とりわけ議会の中で人気が厚く、トランプ大統領とペンス副大統領のどちらを望むかと聞けば、大多数はペンス氏を選ぶだろう。

 支持率も低空飛行が続いており、最近の世論調査でも不支持率が50%を上回る。

 冒頭の“Like a fine tuned machine”発言が出た2月16日の記者会見。トランプ大統領は従来のメディア批判とともに、ヒラリー・クリントン氏に対する批判を展開した。トランプ大統領が大統領選に勝利した一因に、有権者のクリントン嫌いがあった。今のタイミングでクリントン批判を再開したのは、同氏を再び槍玉に上げることで支持率を浮上させようという思惑だ。

 「トランプ大統領は共和党の重荷になっている。ある時点で、下院での再選を固めるためにトランプと距離を置く必要があるだろう」。英マンチェスター大学のアンジェリア・ウィルソン教授(政治学)は英インディペンデント紙にこう述べた(記事)。現状では、副大統領や閣僚による合法的クーデターを「希望的観測」と見る専門家が多いが、今の状況が続けばどうなるかわからない。

ストレートに弾劾に至る可能性もある

 もちろん、修正第25条第4節の発動を待つまでもなく、ストレートに弾劾に至る可能性もある。

 あるワシントンウォッチャーによれば、弾劾につながり得る罪状として現時点で認識されているものに、「報酬条項違反」があるという。これは連邦議会の同意なく、大統領が外国政府から報酬や官職、称号などを得てはならないという規定だ。トランプ大統領は世界中に企業を所有しており、そういった企業を外国政府などが利用すれば、同条項に抵触する。

 また、先に述べた「いわゆる裁判官」発言も、三権分立の原則を踏みにじったとして弾劾対象になり得るという指摘もある。何より、フリン氏の辞任につながったロシアスキャンダルはくすぶったままだ。トランプ大統領の関与が示されれば、事態は劇的に動き出すだろう。

 現状のカオスは政権を立て直す好機という声もあるが、事態が好転しそうな気配は今のところ見えない。どう引きずり下ろすかという議論が就任わずか1カ月で始まっているところに、終末感が漂う。頼みの大規模減税や法人税改革も財源の国境税調整を巡って紛糾していることを考えれば、案外、共和党がトランプ大統領を見限る日も近いのかもしれない。

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