2月10日に予定されている日米首脳会談を前に、トランプ大統領の対日批判が日に日に圧力を増している。

 思えば3カ月前、安倍首相が外国首脳として初めてトランプ氏に会った際には、信頼関係の構築に向けた第一歩を刻むことができたと初動を評価する声が広く聞こえた。「素晴らしい友好関係を始めることができたのは喜ばしいことだ」。会談後、トランプ氏もフェイスブックに好意的な感想を残している。ところが、年が明けるとツイッターでトヨタ自動車を批判。最近も通貨安誘導を繰り広げているとして、中国とともに日本を名指ししている。

 同盟国に対する強面の姿勢は日本に対してだけではない。

 米ワシントンポストによれば、トランプ大統領は難民の受け入れを巡ってターンブル豪首相と衝突、1時間の会談が25分で終わったという。豪州に密航した難民の一部を米国に移住させるというオバマ前政権との合意を確認したことが衝突の要因とされるが、アメリカン・ファーストのためには同盟国の首脳と衝突することも辞さないという姿勢が改めて明らかになった。

 2月3日に訪日したマティス米国防長官との会談では、日米同盟の重要性とともに、沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約第5条に基づく対日防衛義務の適用対象になることを互いに確認した。国防長官が従来の路線を踏襲したのは安心材料だが、真の姿を現しつつあるトランプ大統領とホワイトハウスが安全保障や経済、貿易にどういう要求を突きつけるのか、予断を許さない状況だ。

言い訳するより、狙いをそらせ

 「経済や貿易でもウインウインの関係であることを示したい」と安倍首相は首脳会談に期待を示している。その手土産として、インフラ投資などで4500億ドルの市場を創出、70万人の雇用を生み出すという原案が既に報じられている。トランプ大統領が重視している米国内での雇用創出に協力することで、気分よく帰ってもらおう(帰るのは安倍首相だが)ということだろう。

 もっとも、新大統領のご機嫌取りは重要だが、批判の矛先を他国にそらすのも同じくらい重要という指摘もある。他国とは、日本で言えば中国である。

 「対中貿易赤字は現時点で米国の貿易赤字の約5割を占める。いずれ米国の脅威になることは間違いなく、その経済的な脅威に日米で協力して立ち向かっていこう、というメッセージを出すのも選択肢の一つ。言葉は悪いが、中国を犠牲にするということだ」。官邸の内情を知る関係者は語る。