トランプ大統領誕生を支えた中間層の熱狂は、やがて…(写真:ロイター/アフロ)

 米大統領選の勝利で戦前の予想を大きく裏切ったドナルド・トランプ氏だが、再び市場参加者やメディアの期待を裏切りつつある。

 大統領就任後、全米各地で相次ぐデモを見ても分かる通り、歴代大統領の出だしと比べても、トランプ政権の不人気は群を抜く。それでも、ダウ工業株30種平均の2万ドル超えが象徴するように、大統領選以降、株式市場は活況を呈してきた。トランプ大統領が主張する大規模減税や規制緩和、インフラ投資などビジネス重視の姿勢を市場が好感したことが大きい。

 また、ホワイトハウスの椅子に座れば現実に気づき、保護主義的な言動や移民抑制につながるような政策を自重するだろうという期待もあった。事実、大統領選の終盤から昨年12月にかけて、それまでの強硬な主張を軟化させたように見えた時期もあった。トランプ大統領は実利を重んじるビジネスパーソンであり、保護主義や移民抑制は選挙に勝つための方便――。そんな楽観的な見方も浮上したのもこの時期だ。

株価活況も「トランプはトランプ」

 ところが、トランプ大統領はどこまで行っても"トランプ"だったことが明らかになる。

 新設される国家通商会議のトップに対中強硬派のピーター・ナバロ米カリフォルニア大学教授が指名された時には緊張が走ったが、この時は国家通商会議がどこまで影響力を持つのか不透明なところも多く、保護貿易の懸念はあくまでも懸念だった。就任演説で「バイアメリカン・ハイヤーアメリカン」と明言した時も、支持者向けに強面を演じているだけだという解釈も聞こえた。就任直後から乱発している大統領令にしても、環太平洋経済連携協定(TPP)の永久離脱やオバマケア(医療保険制度改革法)の廃止、連邦政府職員の採用停止などは想定内で、手をつけやすいところに手をつけているだけだと見る向きもあった。

 だが、メキシコの壁建設に伴う大統領令や壁の費用負担を巡るメキシコ大統領との応酬、一部イスラム教国の市民に対する入国制限、さらにトランプ政権が導入を検討している専門職向けのビザ規制や性的少数者(LGBT)の権利を後退させかねない「信仰の自由」の拡大(娘夫婦が止めたと報じられている)など、1月後半からの動きを見ると、トランプ大統領が選挙公約の実現に並々ならぬ意思を持っていることが見て取れる。ここ数日でトランプ相場に対する期待が後退しているが、それもトランプ政権の真の姿を改めて認識したからだろう。