2017年1月28日、大統領令による入国制限を受け、米国サンフランシスコ国際空港第4ターミナルのセキュリティチェックポイントをブロックする警官ら(写真:ロイター/アフロ)

移民を多く採用するIT企業なども一斉に批判の声

 就任以降、積極的に大統領令を発令しているドナルド・トランプ大統領。1月26日こそペンシルベニア州で開催された共和党の会合に出席したため署名はなかったが、TPP(環太平洋経済連携協定)の永久離脱や連邦職員の新規採用凍結、メキシコ国境の壁建設など毎日のように大統領令を乱発している。仕事が早く、他人の目を気にしない。そんなニューヨーカーの特徴を地で行く新大統領の10日間である。

 メキシコ国境の壁建設の余波で同国ペニャニエト大統領との首脳会談がキャンセルになるなど、矢継ぎ早の大統領令はどれも米国や国際社会に波紋を投げかけている。それでも、1月27日に署名した大統領令が与えた衝撃度に比べればかわいいものだろう。難民や特定国出身者の入国禁止を柱とした大統領令である。

 この大統領令は、入国審査を厳格化するまでシリア難民の受け入れを無期限に凍結する一方、その他の国の難民の入国を120日間にわたって中断、イラクやイラン、シリアなどイスラム教を主流とする7カ国の市民の入国を90日間、禁止するという代物だ。もっとも、永住権(グリーンカード)や正規の査証(ビザ)を持つ人々にも一律に網をかける乱暴な対応に世界中が大混乱。米国の空港では拘束されたり、入国を拒否されたりする人であふれた(その後、グリーンカード保持者は除外されると発表された)。

 今回の措置については各方面から批判の声が上がっている。

 「アップルは移民なしでは存在しない」(アップルのティム・クックCEO=最高経営責任者=)、「難民や助けを必要とする人々のために門戸を開いておくべきだ」(フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO)、「イスラム教国の市民に対する全面的な入国禁止は米国の課題に対処する最善の策ではない」(テスラのイーロン・マスクCEO)など、移民を多く採用しているIT(情報技術)企業は一斉に声を上げた。特に、該当する国の出身者を抱える企業は米国への早期帰国を呼びかけるなど対応に追われた。

 さらに、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領など各国のリーダーもトランプ大統領の対応に疑問を呈した。「米国の難民政策は米国が決めること」。同日の首脳会談で米英の「特別な関係」をアピールした英国のメイ首相はそう述べて直接的な批判を避けていたが、国内の反発を受けて懸念の表明に追い込まれた。