ハンズオンでのロビー活動がより重要に

アジアなど新興国には、欧米の企業も注目してロビー活動も激しいと思います。日本と欧米の政府や企業を比べた際の違いや、日本の課題についてはどのように考えておられますか。

松島:最初の話に戻りますが、やはり日本は、企業ごとの個別の戦略をきちんと立ててロビー活動を進めていくことが苦手です。インフラなどの大きな案件については、安倍晋三首相がトップセールスで積極的に各国を回ることもやっておられますが、自治体レベルでも様々な国で売り込みを行うということはありますよね。ただ、多くの場合が、物産展をやって、現地の要人に対する「セイ・ハロー」で終わってしまう。これは大変もったいないことです。

 私はインドにいた頃に、米国のロビー活動に関する文書を見せてもらったことがあります。その資料には、個別の企業と売りたい商品名、その国の制度や課題、その製品によって何を実現したいかといったことが極めて細かくまとめられていました。案件のリストも150件くらい並んでいたんですね。

 例えば、コカ・コーラはこうだとか、ウォルマートはああだといった、企業ごとの戦略と作戦についてものすごく水面下で議論をして、それを役人が徹底的にふるいにかけて、最終的に残った案件をトップセールスで売り込む。こうした取り組みは、やはり欧米の方が先行しています。日本においてもハンズオンでのロビー活動を、より本格的に手掛けていくことが今後さらに重要になると考えています。