空中撮影の新たな道具として普及が進むドローン(小型無人機)。今では宅配や測量、送電網の点検など、その活躍の場を広げようとしている。日本でも国が飛行可能区域を明確に定めるなどして、普及を後押し。事業化に向けて、実証実験に熱心に取り組む企業も少なくない。

そんなドローンを巡る国際規格化議論がISO(国際標準化機構)で2014年10月から進んでいる。日本からもメーカーの技術者や研究者などが議論に参加しているが、安全性確保や自動制御技術の確立など、ドローンの技術はまだまだ発展途上。規格化するにも、ベースとなる技術を何にするか、各国が主導権争いを演じている。
規格化でリーダーシップを発揮している日本
そうした中で、日本がリードしている分野があるという。それは、「ドローンパイロットの養成」に関するものだ。
「実は日本は世界でも有数のドローンパイロット育成国」。こう話すのは、ドローンの業界団体である日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の田口直樹経営企画室長(注、UASとはUnmanned Aircraft Systemsの略)だ。JUIDAが認定しているスクール数は北海道から沖縄県まで全国105カ所にあり、そのスクールを受講してJUIDA無人航空機操縦士の証明書を交付された人は2017年末で3439人になる。
こうした実績もあることから、JUIDAを中心に日本としてパイロットの育成手法についての国際規格化をISOに昨年、提案した。これまでに蓄積した操縦技術の伝承ノウハウを体系化し、学習者が効率よくスキルを得られるようにしたものだ。すでに国内のスクールには海外からの受講者も少なくない。海外でもニーズがある証左だ。田口室長も「国際規格化してお墨付きをもらえれば、ノウハウで先行する日本のスクールが海外進出をしたり、認定パイロットが海外企業で働いたりするのに役立つ。大きなビジネスにつながる可能性がある」と期待する。JUIDAら日本のドローン関係者は、約3年後の国際規格化を目指している。

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