「働き方改革」実現のツールとしても注目

作成:アビームコンサルティング

 ロボットは、業務量や実施時間帯に応じて「配置」「増員」「削減」が柔軟にできる。一般的に部署や時期によって、業務量や繁忙期が異なるため、一部の人に負荷がかかってしまうことがよくある。

 昨今の残業規制やワークライフバランスを重視する働き方への転換に対応するためにも、負荷を軽減する措置が必要だ。ただ、期間限定の雇用や配置換え等を考える必要があり、管理者側も現場側も対応に向けたハードルは高い。

 例えば、ある企業では海外マーケットの金融商品のファンド価格を取得して登録する業務において、海外マーケットの取引時間に合わせて深夜に作業する担当者を持ち回りで設ける必要があった。

 この業務をロボット化したことにより、深夜に誰も働かなくて済むようになった。また、別の企業では、ある情報を沢山の企業ホームページから取得する業務が発生。この作業を従業員が自力で行うことは困難と判断し、調査会社から数百万円で情報を購入する予定だった。だが、結果的に情報をホームページから抽出するロボットの導入で対応できた。調査会社への支払費用に比べて10分の1の投資でロボットを導入できたため、大きな費用の削減につながった。費用削減だけではない。従業員を不毛な単純労働から解放できたのだ。

 ロボットには「人事異動」や「転職」はない。そのため、一度覚えたノウハウは失われず、知識が属人化することを防ぐことができ、その会社の財産となり永遠に保持される。

ホワイトカラー業務の半数はロボットに置き換え可能

 ある企業では、資金移動計画表を作成する業務において、作業時間と作成作業ノウハウの属人化に悩んでいた。従来は熟練者が経験を元に作業を実施していた。だが、熟練者が不在の場合には経験の浅い担当者が熟練者の2倍以上の時間をかけて作業を行わなくてはならず、その作業の正確性も不十分だった。

 この作業をロボット化することで、作業時間の短縮や作業品質の向上につながり、かつ今まで個人の頭の中にしかなかったノウハウを可視化できた。ロボットによって、ノウハウを共有、活用できるようになったのだ。

 昨今のRPA導入事例から得られる情報を総合すると、日本企業のホワイトカラー業務は、業務量比率で約60%はルール化が可能なもので構成されている。そしてルール化できた業務にRPAを適用すると約80%の業務はロボットに代替できている。

 つまり、ホワイトカラー業務工数の約半分はロボットに置き換えることができると考えられる。

 本稿では、あくまで現時点の技術に基づいて「ロボットがどこまで人に代われるか」を考えてきた。機械学習や自然言語処理といったRPAの周辺技術は日進月歩の様相であり、今後ロボットがより広い領域をカバーする様に進化すると予想される。

 そのようなロボットの進化に従って、私たち人間がすべき業務は、より付加価値の高い領域にシフトしていくことになる。では、ロボットと共存し、ロボットにはできない領域で活躍する人材とはどのような人なのか。企業は今後の変化にどの様に備えるべきなのか。次回は、来るべきロボット化時代に向けて、我々はどのように準備すべきなのかについて論じて行きたい。