作成:アビームコンサルティング

 人間とロボットの機能を比較した時に、現時点で圧倒的にロボットに優位性があるのは「作業スピード」だ。人間の手作業では限界がある。どんなに作業が早い人でも、何時間も同じスピードで作業をし続けることは難しい。「正確性」も圧倒的にロボットの方が優秀だ。しかし、フォーマットの柔軟性では人間に軍配が上がる。

自己学習して自動的に機能を付け加える開発が進む

 続いてProcess、情報の加工を見てみよう。

 人間は頭脳を駆使して情報の整理・集計・組み換えを柔軟に行うことができる。必要であれば過去の経験からの類推や、情報から示唆を読み取ることも可能だ。ロボットはまだ自分でやり方を考えるというレベルに達しておらず、作業を手取り足取り教え込むことが前提となる。そのため、作業手順や条件によるパターンの分岐を漏らさずルール化が必要となる。

 一度覚えた作業はどんなに膨大で複雑でも、正確に繰り返し実行できるのはロボットの特長だ。定型的で繰り返し頻度が高い業務を優先的に教えていくことが、効果を最大化する近道となる。

 機械製造業を営む従業員約2500人のある企業は、月次の実績管理業務の中で、「会計システムへの計上データ」と現場からの契約書やエクセルの明細情報等の「裏付け情報」との整合チェック業務に悩まされていた。確認項目が多数ある上に、件数も膨大。不整合を発見するまでに膨大な時間と、正確に行うための集中力が必要だった。

 当初はすべてのチェック処理をロボットにより完全自動化する姿を描いていた。しかし、そのためには不整合を摘出した上で、その理由がミスなのか、容認できるイレギュラーなのか、人為的な不正なのかといった内容の分析までパターン化し、ロジック化する必要があると判明した。これではロボットが完成するまでに多大な労力がかかってしまう。

 そこで、まずはデータ面での不整合のみ精査する一次チェックをロボットに任せることにした。ロボットが抽出した不整合案件についてのみ、原因について人間が担当者へのヒアリングや分析するということで、作業を絞り込んだ。これにより、作業の約60%を自動化できたという。

 なお、現在は人間が業務のルールを定めてロボット化するという関係であるが、RPAツールにAI機能を取り込むことで、ルール自体を自己学習して自動的に付け加える機能の開発が、北米の金融業界で進んでいる。今後は、ロボットが自ら過去の実績や知見・知識を基に新しいビジネスルールを自ら学習・発見するといった自己学習機能が発達する可能性が十分にある。

 3つ目のOutput、情報の提示を見よう。人間は処理した結果をどのように伝えるかを考え、レポートや報告書を作成する。また、報告すべき人とタイミングを判断し、報告作業を行っている。

 現在のロボットは、複数の定型フォーマットからルールに従って出力すべきフォームを選定し、レポートや報告書を作成することはできる。また、決められた人に報告書を送付したり、エスカレーションすべき順序に従って、ワークフローのようにルールに従って承認したりすることも可能だ。

 ただし、あくまで定型化されたフォーマットへの出力しかできない。分析結果に基づいて柔軟に報告様式を変えたりすることは難しい。人のように多少の変更等をタイムリーにフォームへ反映したり、処理結果を基に、より分かりやすい表現を考えたりすることは現段階では難しい。

 東証一部に上場するある企業は、決算分析レポート作成のロボット化を検討をした。ロボットが定型分析フォームに出力すると同時に、集計データに応じた分析コメントまで記載できないかという要望を当社が貰ったケースがあった。

 残念ながら現段階では、データを解釈して分析コメントを作成することは難しいと説明し、資料の数値データ部分はロボットが迅速に作成し、データを吟味して分析コメントを加える作業は人間が行う形となった。以前は、数値データ作成に半日以上費やしていたが、1時間程度で作成可能となったという。

 ロボットが作成した数値データには間違いがなく、複数人で数値データをチェックする手間も同時に省くことに成功した。自動化で新たに創出された時間を利用して、人間はしっかりと分析作業ができるようになった。