その伍 「ロボットに任せれば大丈夫」の誤解

 先ほどRPAはユーザー部門主導で簡単に作成・変更が出来ることが1つの利点であると述べたが、この利点が思わぬ事態を招くことになるケースがある。

 各ユーザー部門がそれぞれの業務に合ったロボットを自由に作成し、動かすことができる。一方で、各ユーザー部門が思い思いに好きなロボットを作り、動かし始めると、互換性の欠如によるロボット同士の「ケンカ」が発生したり、まったく関係のないロボット同士がいつの間にか連動して、別の結果を生み出したりするリスクがある。また、誰が何のために作成したのか分からないといった「野良ロボット」が出現する可能性も否定できない。

 特に大きな企業において、複数部門にまたがってRPAを活用する場合には、ロボット同士のケンカや野良ロボットの出現を防ぐために、人間社会と同様に秩序やルールが必要になってくる。

 例えば、企業において社員が人事部で管理されているように、作成したロボットは、どんな目的で、何を行うためにどこの部署に所属しているのか、どのくらい稼動しているのかといった情報を全社一括で管理し、共有しておく必要がある。

 また、新しい社員を採用する場合に採用面談があるように、新しいロボットを作成する際には、本当に役にたつロボットなのか、既存のロボットで代替できるものはないのかなど、一定のルールを設定し、検討するプロセスを整備しておく。このように人間の社員同様に、ロボットを一定の規則・ルールで管理することにより、無秩序なロボット社会の出現を防がなければならない。

 ロボットは正しい指示をすれば正しく動くが、間違った指示をすれば間違ったまま実行してしまう。ロボットに指示を出すのはあくまでも私たち人間であり、ロボットが実行する業務・結果に対する責任も、指示を出した我々にあることを忘れてはならない。

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 RPAは、日々進化を続けており、現在の一定のルールに則った定期的な業務から、一部かなり高度な判断が必要な業務まで対応領域を広めつつある。ロボットは、過去の処理実績や保持している大量データから統計学に基づき、結果を導き出すことが可能だ。今後は、これまで以上に間違いの少ない、正確な処理結果を我々に提供してくれることだろう。

 ただ、私たち人間は、ロボットが導き出した処理結果を鵜呑みにするのではなく、今置かれている立場や状況、人々のニーズを敏感に捉え、ロボットの導き出した結果を”どう調理するかを考える”ことが求められる。

 RPAを導入する際には、ロボットが「出来ること」「任せるべきこと」と私たちが「担うべきこと」を検討した上で、地に足のついた導入を実施していくことが重要だ。あなたもロボットと分業し、共に働く未来がすぐそこまで来ている。