彼ら彼女らは、イレギュラーな契約パターンに対する対応など、人間にしか判断出来ないような仕事に専念できるようになったという。ロボット化は仕事を奪う存在ではなく、むしろ仕事の質を高めるきっかけとなっているのだ。

 私たちは、ロボットに作業を任せたことによって生まれた時間を利用し、ロボットにはできないより高度で生産性の高い仕事にシフトすることができる。今まで手がつけられていなかった領域や、人間の発想力・ひらめきを活かした仕事(商品企画やプロモーションの立案等)に取り組む時間の確保につながる。創造的で付加価値の高い作業に集中できることは、仕事へのチャレンジ意欲を導き出してくれるだろう。

その弐 「ロボットは何でも出来る」の誤解

 次によく耳にする誤解は、「ロボットさえ導入すれば何でも出来る」という夢物語である。前項でも述べたが、現段階のRPAツールでは、定期的な一定のルール則って業務を代行することは可能だが、複雑な判断・条件下で実施する業務は未だ人間の介入が必要となる。

 例えば、ある製造業で実際に稼動しているロボットは、「毎朝決まった時刻に、あるWEBページより複数の外貨換算レートを取得する」という業務を担当している。ロボットにはあらかじめ人間が「何時に」「どのアドレスにアクセスし」「どのボタンを押して」「どの情報を取得し」「どのExcelファイルのどの列に」出力するのかを指示しておいた。

 ロボットは、毎日決められた時刻にきちんとデータを出力し続けてきたが、ある日、データが出力されず、担当者にデータが出力できなかった旨のメール通知があった。担当者が原因を探ってみると、データ取得元のWEBページのレイアウトに大幅な改定があり、ロボットが指示されたとおりに動けなくなっていたことが分かった。

 人間が作業していれば、WEBページのレイアウトが改定されたとしても、目で見て判断すれば変更後のレイアウトから取得できるだろう。しかし、現在のロボットでは、WEBページのレイアウトの変更を自動的に認識するレベルではなかった。人間が自然と判断していることをロボットは自ら判断できないため、人間が再度、新しい指示をする必要がある。

 近い将来、AI等との融合が進み、検知技術や認知技術が取り込まれ、徐々に例外処理や非定型な作業にも対応できるようになるかもしれない。ただ、現在の技術レベルでは、出来ることが限られている点をご理解いただけただろう。