2021年3月31日、積極的にRPA(Robotic Process Automation)の導入を進めたA社では、「最後の事務員」が営業部署へと異動になった。人間とロボットプログラムが協働するのが当たり前となり、数年前には多数在籍していた事務職員や秘書の多くが、別の部署へと移っていった。かつては人が担当していた業務、その担当がロボットに代わったのだ。最後の一人が異動となり、A社に事務員はいなくなった――。

ここに書いた未来像は絵空事ではない。今後RPAを企業が積極的に取り入れ、多くの人手を掛けて行っていた作業はロボットが担っていくことになるだろう。
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受発注処理は…
- 顧客との取引は全てロボットが担当するようになる
- ロボット対ロボットで受発注処理を行い、受発注事務のリードタイムという概念が無くなる
- 新たな取引のパターンが発生すると、新パターンとしてロボットが学習し、自動処理に組み込まれる
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決算業務は…
- 決算に必要な情報の収集や集計作業は全てロボットが行うようになる
- 領収書や請求書といった証憑書類の存在チェックなど、決算精度を担保する確認作業も全てロボット化される
- 決算スケジュールもロボットに組み込まれ、人間はロボットへの実施指示を出す立場になる
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秘書業務は…
- 単純な秘書業務は全てロボットが行うようになる
- 各種の会議日程調整は対象者の空き時間や優先順位等の情報を使ってAIロボットが最適化計算を行い、提案する
- 出張手配は行き先や日程等を指示すると、ロボットが手配するようになる
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報告業務は…
- 報告業務に必要なレポート類の作成は、全てロボットが行うようになる
- 決められたサイクル・タイミングでロボットが情報収集を行い、報告レポートの素案を作成する
- 人間はレポートを見て判断することに集中する形になる
そもそもRPAとは何なのか、新しいキーワードのため、知らない人もいるだろう。かなりの広がりを持った概念ではあるが、基本的には「従来は人間のみが行うことが出来ると考えられていた作業を代行し、高度化するソフトウエア及び、それらを利用した業務改革手法」と定義されている。
Roboticという言葉が象徴するものとして、かつて工場の生産現場で人間が行っていた作業が産業用ロボットによって代行される様になった変革が想起される。これと同様に企業の人事、経理、調達や営業事務といった、人が行うほかないと考えられていた作業領域に変革が起こるとイメージすれば、分かりやすい。
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