モンスター化した東京の高齢化は、相当に対応が難しい問題ですね。

増田:その通りです。東京は人口が多いだけに、乗り切るのが大変難しい。東京では高齢者の約30%が単身世帯で、孤立している人も多い。認知症も増えますから、老人ホームなどの施設で対応しなければなりませんが、それが難しいのです。

前に「高齢者の地方移住が必要」と唱えられましたが、一部からは「姥捨てだ」との声も出ました。

増田:それは全くの誤解です。高齢者を地方に移し、そこで面倒を見てもらおうと言っているわけではありません。最近は少し変わってきましたが、日本では大学を出た後、1つの会社でずっと働き続ける人がまだ多い。途中で転勤したとしても、多くの人はまた東京に戻る。つまり東京なら東京でずっと働く人が多い社会なのです。

 これをそろそろ変えてはどうかと言ったのです。50歳ぐらいから、仕事を変えて次の場所で活躍するということも考えられます。東京で役職定年になって一線を半分退くのなら、さらに働ける場を求めて地方に行く手もあります。日本人は生き方を変えてもいい時期に来ているということを言いたかったのです。

でも、多くの地方都市は経済停滞に加え、生産性が上がらないため、定住したくなるような雇用が減り、賃金も低下しています。地方都市はまず何から取りかかるべきでしょうか。

増田:地方にはいくつか典型的なタイプの都市があります。その一つは地場の中小サービス産業が中心になっている街です。外食やバス・タクシーなど交通、小売り、医療・介護といった業種が多い、どこにでもあるタイプの街です。

 しかし、そうした地場企業は生産性が低いままで、企業の新陳代謝も進んでいないところが多い。その結果、給料が低くなって若い人を惹きつけられなくなっているのは確かです。

地方は生活費も低いから何とかやってこられたが、この状況は限界に来ています。しかも、2009年秋からの民主党政権で中小企業への信用保証枠を拡大して、それがそのまま残ったこともあり、余計に企業の新陳代謝が進まなくなった。

 こうしたところはまず、そこから変えなければだめだと思います。信用保証枠の縮小などで、中小企業の新陳代謝を進め、より工夫した強い企業が生き残れるようにしてサービス産業中心の街を活性化する必要があるはずです。今、地方も有効求人倍率が1を超えていいます。弱い企業が退場しても人が動けるからこういうタイミングは改革の好機です。

企業城下町こそ、大胆な改革が必要

地方には、企業城下町もあります。しかし、大企業の側は事業の選択と集中やグローバル化で収益を復活しても、城下町には恩恵が及ばなくなってきました。

増田:確かに大企業の企業城下町は課題を抱えています。1990年代半ばの円高以後、生産拠点が海外に移り、最近では研究開発の一部も動いています。そして、いったん海外に出た部門はなかなか元には戻りません。

 ある都市の大企業の工場が、その企業の全世界のネットワークの中でマザー工場になっていたり、研究開発拠点を持っていたりすれば別ですが、そうでなければ企業城下町はもう厳しいでしょう。特にある1社の大企業だけの城下町のようなところはきつい。

 必要なのは、産業も人ももっと多様化することです。特定の大企業に寄りかかっていては、リスクが大きくなるばかりなのです。例えば、サービス産業をもっと強くしたり、新たな事業を興したりといったことに取り組まないと生き残りは難しくなる一方です。

コンパクトシティー化の必要性も唱えてきました。コンパクト化して、都市をどう変えることで、何が起こせるのでしょうか。

増田:私は、都市全体が中心部に集まれと言っているわけではないのです。中心部はその外側を含めて、中山間は中山間でまとまる必要があると言っているのです。高齢化時代に欠かせない訪問介護や訪問看護といったサービス一つ取っても、事業者は効率を考えます。端的に言えば、1日に何件対応できるかといったことです。それだけ捉えてもコンパクト化は必要です。

 先ほどの人口減による行政サービスの低下も、人々がまとまって住めばある程度は対応できます。人口減の時代、働く世代から高齢者まで暮らしやすい街作りをどうするのか、もう考えて行動する時期です。