既存企業との協業も促す

 貴重な経験を後進に伝える先輩起業家に、リーボ代表の松尾龍馬氏がいる。松尾氏は「東京と比べて、福岡市には経験がまだ街に落ちていない」と独特な表現をする。どういう意味なのか。

 リーボは全国240社、約8500台のレンタカーを検索できるサービスを展開している。レンタカー検索サービスを始める前に小型電気自動車のカーシェアリング事業を手がけていたが、うまく軌道に乗らなかった。その失敗の経験を、起業などの相談に来る後輩たちに伝えている。「スタートアップカフェによって起業する人が増えているが、成功するのはわずか。失敗した経験も共有しながら、起業家の成長をサポートしていく体制を強化することが必要だ」と松尾氏は強調する。

 地元大手企業の西鉄も起業後の成長支援に一役買おうとしている。2015年12月、「オープンイノベーションコンテスト」を開いて、起業間もない企業に事業提案を求めた。1月下旬にも選考結果を公表する予定だ。

 優れたアイデアについては、共同で事業化を進めることも検討する。コンテストには、スタートアップ企業の成長を支援しながら、自社グループのサービス向上につなげる狙いもある。

 福岡市も2015年11月、既存企業とスタートアップ企業が交流する場として、「フクオカ・スタートアップ・セレクション」を開催した。市内のホテルで地元企業やスタートアップ企業による講演やプレゼンテーションを行った後、参加者らが交流する機会を設けた。新しいサービスやアイデアを持つスタートアップ企業と、強い営業基盤やノウハウを抱える既存企業との協業を促すことで、福岡市の産業を活性化させようとしている。今後も開催していく予定だ。

 福岡市は起業支援だけでなく、企業の誘致にも力を入れている。次回は企業誘致に関する福岡市のユニークな取り組みを紹介する。

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