地元企業などが「創業者応援団」を結成

 スタートアップカフェにとどまらず、市の支援制度は多彩だ。地元の経済界と大学が連携した長期インターンシップ、スタートアップに向けた留学支援、低額で利用できるインキュベートオフィスの提供、創業時の融資制度など、手厚い策を講じてきた。2014年には国家戦略特区「福岡市グローバル創業・雇用創出特区」の指定を受け、法制・税制など様々な規制緩和策を打ち出している。

 福岡市はなぜ起業しやすいのか――。現地で取材した起業家たちは、起業前から「福岡市は起業しやすい街だ」との評判を聞いていたと口をそろえる。起業しやすい要因は市の施策のほかにもある。それは、先輩起業家や地元の既存企業との距離が近いことだ。

 福岡市では2003年に、地元企業の経営者などによって「福岡市創業者応援団」というネットワークが形成されるなど、もともと起業家を支援する土壌があった。さらに、ここ数年、起業家たちの情報ネットワークが拡大し、既存企業とスタートアップ企業との連携を強める動きも活発になっている。

移住2日で50人の名刺

 福岡ではほぼ毎日のように、スタートアップ企業やコンテンツ産業の関係者がイベントや勉強会などを開いており、起業に挑む人を支えている。2010年4月、福岡市で起業しようと、長野県から引っ越してきた岡本豊氏は、引っ越し当日に福岡市・大名エリアの飲食施設などを紹介するSNSで見つけた飲食店で食事した。すると、店主に「この後、IT関連の勉強会があるから参加しないか」と声を掛けられ、その日のうちに20人と名刺交換した。

 さらに、そのうちの一人に翌日のイベントに誘われ、引っ越しから2日で50人を超える名刺が手元に残ったという。「この時の人脈を生かして、3カ月後には人を紹介する側に回っていた」と岡本氏は話す。その後、岡本氏はアプリ開発の会社「からくりもの」を立ち上げ、地元の西日本鉄道(西鉄)バスの運行情報を検索するアプリを開発。これが評判を呼び、西鉄はリニューアルしたものを公式アプリとして採用した。

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