極め付きはコーヒーフロートですね。割といいレストランでスタッフと打ち合わせをしたときのことです。メニューにアイスコーヒーとバニラアイスがありました。そこで私は「アイスコーヒーにバニラアイスを入れてコーヒーフロートにしてください」と注文しました。店員の方は一旦、厨房に引き上げた後、戻ってくると「できません」と言うんですよね。特に理由もありませんでした。

 「アイスコーヒーがある、バニラアイスもある、両方入る少し大きめのコップもあるはず。もちろん両方の料金を足して払いますから」とお願いしたにも関わらず、「両方お持ちしますのでお客様のほうで入れてください」と断られてしまいました。

その辺り、米国はどうでしょう。もっと融通を利かせるのでしょうか。

パックン:米国はチップ制ということもあり、現場の運用がもっとゆるいですね。お客さんを喜ばせればチップが弾みますから、それを期待していろいろなリクエストをかなえてくれる傾向がありますね。セットの組み合わせを変えたら少しだけ値段が上がるような場合でも「いやいや、同じ値段でいいですよ」とサービスしてくれることもあります。

日本のサービスは現場でもっと融通を利かせていい

 ですが、米国のサービスは差が激しいですね。すばらしいお店もある一方で、ひどいお店も多い。日本は均一でレベルが高いですが、米国は店ごとのサービスのブレ幅が大きいですね。

 ですから日本と米国、どっちもどっちなんですが、日本のサービスはもうちょっと柔軟になったらいいんじゃないかなとは思います。

そのためにはまず、何をすべきだと考えていますか。

パックン:正解は「聞くこと」だと思います。お客さんとのコミュニケーションをもうちょっとしてもいいと思います。お客さんを個人として待遇して、その人の好みに合わせることができれば最高でしょう。ファストフードやコンビニエンスストアでは難しいかもしれませんが、サービスする前に聞くのがいいと思いますね。

外国人は正座が苦手だ、生ものは食べない、布団よりベッドを好むなど決め付けてサービスをしてしまう例もあると聞きます。

パックン:実際、畳の部屋で、布団で寝ることを楽しみにして日本の旅館や民宿に泊まる外国人観光客も多いです。外国人旅行者が増えて布団からベッドに変えた旅館もあると聞きますが、せっかくの日本のスタイルがなくなってしまうのはもったいないですね。

 ですから、予約が入ったときなどに日本風がいいのか欧米風がいいのか聞いてみればいいと思います。

英語の問題もあるかもしれません。

パックン:日本人の英語についてはお話したいことはたくさんあるので、それはまた別の機会に譲るとして、日本人は使っていないだけで実は英語が話せます。どちらのタイプの部屋がいいかを聞くのも「ジャパニーズスタイルルーム、ウエスタンスタイルルーム、フイッチ、フイッチ」などと聞けば通じます。不完全な英語ですが、笑顔で話せば相手はさほど失礼に感じません。

 別の問題として日本人は奥ゆかしいのでいちいち人に質問をしないし、聞かれるほうも素直なので「必要ですか」と聞かれれば例え必要なくても「せっかくだからお願いします」と答えてしまう人も多いですよね。

 文化はすごく根強いものですが、少しずつ欧米的に変わってきているとは感じますので、サービスも少しずつ変わっていくかもしれませんね。

 一方で、現場でもっとサービスの融通を利かせるのは、日本人なら簡単にできるんじゃないかなと思います。

 「メニューにないものを作っていいです」と上司から言われたら厨房の人も頑張ってくれると思います。ですからマニュアルに「お客様の要望に合わせてモノを作ることは可能」などと注釈を書いておきさえすればいいんです。「その場合の料金設定は店長に相談すること」とだけしておけば。

 「お客さんごとに好みは違いますから聞いてみましょう」「要望を聞いて柔軟にモノやサービスを提供しましょう」。

 このことを実践すれば、日本の接客サービスはより、やさしく、やわらかく、柔軟性をもったものになると思いますね。