スコルコボ最大のイベントStartupVillageはスコルテックの学園祭ともいえる

 ロシアが国をあげて推進するイノベーションセンター、スコルコボ。前回はスコルコボが提供するスタートアップへの支援内容を中心に見てきた。有望なスタートアップの参加を促すのも重要だが、それらのスタートアップへ人材を供給する、または、そこからさらに新たなスタートアップを生み出すということを考えると、優秀な人材を集め、育成し、交流を促す仕組みも重要となってくる。

 スコルコボはどのような仕組みを用意しているのだろうか。今回はスコルコボに併設するスコルテックと呼ばれるスコルコボ科学技術大学(Skolkovo Institute of Science and Technology)とスコルコボで行われている各種イベントについて紹介していこう。

技術を事業化できる人材の育成の場としてのスコルテック

 本連載の第1回でも触れたが、2015年6月に開催されたスコルコボ最大のイベントStartup Villageで、スコルテックの最初の卒業式が行われ、その壇上には50人の卒業生がいた。スコルテックは2012年に学生の受け入れを始め、その時点で20人の学生が入学。翌年30人を受け入れたので、計50人が卒業したことになる。入学生の多くは物理学や工学などの教育を他大学で受けているため、日本でいう大学院大学に近いと考えたほうがよいだろう。

 初年度の20人を受け入れたときには、まだ校舎ができていなかった。そのため、彼らはそのまま海外の大学院に送られたという。その行き先には、スコルコボが提携している米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)や英国のインペリアルカレッジ、スイスのチューリッヒ工科大学などそうそうたる名前が並ぶ。滞在費や授業料はすべてスコルコボが負担したということだが、彼らにはそれら世界のトップ教育機関でのベストプラクティスを持ち帰るというミッションがあった。幕末に幕府が派遣したオランダへの留学団を想起させるが、それほどの本気度と危機感が感じ取れる。

 スコルテックの特徴の1つが、技術の事業化を強く意識していることだ。その傾向は、入学時の試験内容からも顕著だったらしい。エッセイ等の筆記もあるが、選考のメインは3日間にわたるグループワークで、さまざまなワークの課題の中にある技術の事業化を問うようなものも入っていたという。