「デフレは企業が作っている」

 しかし政策任せでいいのか。企業の側も変わる必要がある。「顧客は大抵のものを持っているから消費は飽和だというが、商品に顧客の気持ちを捉える『新しさ』を出し続けているのか。売れないから価格が下がってデフレになるのではなくて、売れるものを出していないのではないか。デフレは企業自身が作っている」。セブン&アイ・ホールディングス会長でCEO(最高経営責任者)の鈴木敏文はそう指摘する。

 鈴木は2007年5月に「PB(プライベートブランド)は低価格」という常識を覆して、品質重視のPB、セブンプレミアムを発売し、大成功を収めた。そして昨年、また新たな挑戦を始めた。大型店でも店舗が自ら商品を開発し、発注もする独立型店作りである。

店舗が商品開発、発注をし始めたセブン&アイグループのアリオ上尾店(写真=柚木 裕司)

 「食品なら地元にある食材を地域の伝統の食べ方を紹介しながら売る。商品を開発するのは店舗のパートなど従業員。彼ら自身が売れると思ったものや顧客の要望を基に商品をそろえる」と鈴木。衣料品なら地元客のニーズを聞いて、季節ごとのその変化を先取りしながら品ぞろえを変えていく。そんな中から他店にない新しさ、価値を作り出していくというわけだ。

 昨年初めからこの方式に変わった埼玉県上尾市のショッピングセンター、アリオ上尾は、食品売り場では地元産野菜を常時50~100種類もそろえ、衣料品でも要望の多かった女性用の「大きなサイズ」の品ぞろえを拡充するなど、多くの売り場を転換。売上高は改革以前より30%も伸びた。

 デフレ脱却。20年以上にわたって日本経済に巣くう病巣を取り除く主役は、やはり企業なのだ。