貯蓄率と共に衰退の恐れも

 ビッグバンの中で唯一の成果と見えるのは、冒頭の松本や前出の松井らがネット証券を作っていったことだろう。インターネットの普及に加え、1999年の自由化で株式売買の手数料は、それまでの100分の1以下になり、個人の株式売買に占めるネット証券の比率は90%に達するまでになった。

所得が減り、貯蓄率も下がってきた
●個人の貯蓄率、消費の推移
所得が減り、貯蓄率も下がってきた<br/>●個人の貯蓄率、消費の推移
出所:大和総研の資料を基に本誌作成
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、その取引量の大半は1日に何度も売買を繰り返すデイトレーダーに占められ、普通の個人の投資家は増えていない。ネット証券拡大という唯一の成果も、ビッグバンの狙いからみれば中途半端な格好のままだ。

 2000年代に入って日本人の貯蓄率は大きく低下している(上のグラフ「所得が減り、貯蓄額も下がってきた」参照)。これは、1600兆円に達している個人マネーも、いずれ縮小することを意味している。金融業がビッグバンで整備した環境を生かし切れなければ、個人マネーの縮小とともに弱体化する可能性がある。製造業の成長力も伸び悩む今、金融業の暗いシナリオは日本自体の危機につながるように思える。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。