その原因の一つは、税負担とその見返りとしての給付(インフラ整備や社会保障、教育など)のバランスの問題だろう。欧州、特に北欧は、税収で社会保障や教育、インフラなどの整備をし続けた。そのせいで増税はインフラの充実など給付増に直結していると、国民に納得されやすいといわれる。

 一方日本は、かつてインフラの相当部分を財投で賄ったように、個人の納税と給付の関係がわかりにくい。いきおい、「税は取られるだけで見返りが少ない」と考えられやすくなり、増税へのアレルギーが強くなりがちだ。

 さらに90年代以降、給与所得者の名目賃金は約10%減り、世帯所得も20%落ちている。このため、わずかな支出に過敏になる人が増える一方で、増税アレルギーはさらに高まっていくことになるだろう。

バブル崩壊後、税収は増えなくなった
●国の一般会計歳入の推移
出所:財務省の資料を基に本誌作成

行政への満足度高める改革か

 これまで見た、税財政の変遷の第1期では、「経済成長の果実としての増収を生かし切れないほど、増税が大きすぎた」(元財務相の伊吹文明)といった側面もある。第2期では、法人税の増税で減税を行うといっても限界があった。法人税自体が、国際競争の中にあって高くしにくくなり、主要な減税財源としては力不足になってきた。そして第3期でようやく、消費税引き上げまでこぎ着けたものの、そこに古くて新しい課題が出てくる。

 負担に見合う給付を、国民が感じ取れるようにできるかどうかである。首相の安倍晋三は2017年4月に消費税を引き上げるというが、実は10%になったとしても国の取り分は7.8%だけ。残りは地元自治体のものとなる。

 しかも、国税分(税率10%時の増税分は3.8%)のうち、社会保障の機能充実に充てられるのはわずか1%分だけ。それ以外はこれまで社会保障費の不足分を埋めていた借金の返済に回ることになっている。このままでは、負担に見合う給付を実感させるのは難しい。

 今必要なのは、増税で借金を返し、国の財政再建を達成することにのみ目標を置く考え方を離れ、国民に何をどう給付すれば、満足感を与えられるか、という視点で財政再建の道筋を考えることではないか。増税をすればいいのではなく、行政サービスの満足度を高めて、税を出してもらう。そうした発想の転換から入らなければ、減税病から抜け出すことは難しい。

=文中敬称略