一般客の称賛の声、年2500件紹介

 さらに先に進んでいくと、掲示板に「お客様のつぶやき」と題した紙が貼ってある。これはテッセイの仕事ぶりを見た旅客がツイッターなどのSNS(交流サイト)に書き込んだ内容を集めたもの。投稿者の名前は伏せつつ、一般の人がテッセイにどのような印象を持ったのか、わかりやすく共有する仕組みだ。

 例えばこんな書き込みがあった。「車内清掃の方々の素早い動きと最後のお辞儀に感動」「いつ見てもかっこいい」「めちゃくちゃ効率化されてて覗き込むの楽しい」「サッカーチームの攻撃よりスピーディー」。2014年度は約2500件にのぼる、プロの仕事を率直に評価する生の声を紹介した。50歳代の女性従業員は「励みになるし、身が引き締まる」と笑顔で話す。

賞賛の声がさらなるやる気を生む
賞賛の声がさらなるやる気を生む

 こうした書き込みから、「新幹線劇場」という表現が単なる意識啓発のスローガンにとどまることなく、実際に「見る」「見られる」の肯定的な関係が旅客とテッセイのスタッフの間で成立していることがわかる。尊敬のまなざしで見られていると思うからこそ、やる気も出てくる。これは自然な流れだ。

 「見る」「見られる」ことで生まれる、肯定的な関係はテッセイのスタッフ同士でも当てはまる。掲示板には、同僚の行動を褒める社内の投稿の数々を集めた「エンジェルリポート」なる読み物も。

褒められて嫌な人はいない

 その人の名前を挙げて「自分の担当車両の清掃が終わってから、近くの車両の作業を手伝っていた」「小さなお子さんの降車を手伝ってあげていた」といった表現が並ぶ。

 東京サービスセンターの佐々木淳子さんは「当たり前のことをこつこつやっている人は普段目立たないかもしれないが、しっかりと光を当てることで雰囲気が変わってきた」と話す。リポートが習慣として根付くことで、忙しいながらも、お互いの様子を気にするようになってきたという。褒められるためだけに仕事をしているわけではなくとも、こうして皆の前で褒められて嫌な気分になる人はいない。