ドライバーとCEOの6分の口論が大炎上

 カラニックは反感を買う才能がすごいと言わざるをえない。いい例をひとつ紹介しよう。グーグルの提訴やスーザン・ファウラーのブログによる傷がまだ生々しい2月末日、ブルームバーグの記者仲間であるエリック・ニューカマーのところにサンフランシスコでウーバーの運転手をしているファウジ・カーメルという人物から届いた6分間のドライブレコーダー動画だ。

 この動画には、スーパーボウルの日曜日、友人ふたりと乗ったカラニックと交わした会話が記録されている。カラニックらが降りるときの会話で、ウーバーXの導入や値下げで収入が減ったと文句を言うカーメルにカラニックが邪険な対応をしたことがわかる。

カーメル :仕事の条件が大きく変わってしまいました。料金を引き下げたじゃないですか。

カラニック:ブラックカーの話かい?

カーメル :そうですよ。

カラニック:くだらん。

カーメル :最初は20ドルでした。

カラニック:くだらん。

カーメル :最初は20ドルでした。いまは1.6キロメートルでいくらでしたっけ。2ドル75セントですかね。

カラニック:知ってるかい?

カーメル :なにをです?

カラニック:自分のケツもふこうとしないヤツってのがいるんだよ。いやなことはなんでも他人のせいにする連中さ。じゃあな。

 このような口論があったことさえ会社は知らず、数週間後、この動画が添えられた記事が出た時点で驚くことになる。この記事や動画は数百万回も閲覧されるほどの話題となった。その少しあと、カラニックが全社員に送った「心からの謝罪」なるメールがウーバーのウェブサイトで公開される。このメールには「こんなことは初めてだが、リーダーシップ面で助けてくれる人が必要だと認めよう」と書かれている。最高執行責任者を採用するという言葉もあった。だが実際には、真剣に探すことなくそれから数カ月が過ぎる。

 ウーバーの大火事は、すぐ、手の付けられない野火となった。毎週のように悪いことが起きる。3月には、小売りチェーン、ターゲットのマーケティング担当役員からウーバーのプレジデントに転じたジェフ・ジョーンズが在職わずか6カ月で辞任する。表向きには「リーダーシップに関する意見」が食いちがっていたからだとしているが、ウーバー取締役との面談では、はっきり、ショットガンのようなカラニックのやり方を激しく非難している。