人材、テクノロジー、システム、顧客との関係を強化

ローウェンCEOから見て、ジェームズ・ダイソン会長とはどのような人物ですか。

ローウェン氏:なぜ、私がこのダイソンという会社に惹かれているかといえば、ここにはジェームズがいるからです。ディーゼルエンジンと大気汚染に対して課題意識を持ち続けていたことからも分かるように、彼にはテクノロジーがどういった方向に進むのか、さらにテクノロジーが産業をどう変えていくのかが明確に見えています。だから、彼の描くストーリーには抗しがたい魅力があるのです。

 ジェームズのビジョンがどれほど明確か。例えば、ダイソンは誰も注目していなかったデジタルモーターの開発に、いち早く乗り出しました。企業規模が小さい頃から、多額の資金を投じてきました。それ以前、誰もこの分野には注目していなかったのに関わらずに。しかし、今ではEVなどの開発には欠かせない技術となっています。

 ジェームズが長期ビジョンを示し、我々が会社全体でそれ共有し、実現するために一丸となって前進する。それがダイソンという会社です。ジェームズという存在がいてくれて、我々はラッキーだと思います。

 しかもダイソンは上場していません。上場企業のように四半期ごとの業績に右往左往する必要もありません。上場すると、どうしても短期的な目標達成に追われ、戦略的な経営ができなくなってしまいます。

ダイソン氏が示したEVというビジョンを、新CEOとしてどう実現していきますか。

ローウェン氏:EVの開発に必要な巨額の投資を確実に実行し、会社の成長を加速させることが私の役割です。

 まずAI(人工知能)やセンサー、ロボティクスといった新しいテクノロジーを獲得するため、スキルを持つ優秀な人材を確実に採用していきます。もちろん、テクノロジーに投資し続けることが重要なのは、言うまでもありません。

 人材とテクノロジーへの投資に加えて、システムも強化します。(EVは家電よりも構造が複雑なため)ITからサプライチェーンまで、可能な限り効率化する必要があります。

 顧客との関係も、もっと深いものにしないといけません。私たちが最高の製品を作り続けるためには、顧客が何を求めているのか、そのニーズを常に的確に理解することが必要だからです。

 人材の獲得、テクノロジーへの投資、システム強化、そして顧客との関係深化の4つを柱に、会社を新しい成長の次元に押し上げていきます。私が見据えているのは2022年。この時までに、皆さんにはダイソンがEVと電池をフル生産している姿をお見せすることができるでしょう。