iPS細胞を使った世界初のパーキンソン病の臨床試験(治験)が、8月1日にスタートし、年内にも1例目の患者に移植手術を実施される予定です。前回に続き、京都大学iPS細胞研究所(CiRA/サイラ)の髙橋淳教授のお話から、iPS細胞を使ったパーキンソン病治療の最前線をお伝えします。

 前回、パーキンソン病の治療のために、「ドーパミン神経細胞の移植」について欧米などでも研究されていることをお伝えしましたが、日本で始まったiPS細胞を使った世界初の治験は、移植の本格化に向けた大いなる第一歩といえるでしょう。世界初のiPS細胞を使ったパーキンソン病の治験とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

 パーキンソン病は、脳内のドーパミンを作り出すドーパミン神経細胞が減少することで、体の動きに障害が出てしまう病気。ドーパミン神経細胞を作るという研究はさまざまなところで行われていましたが、ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞の登場により、一気に現実味を帯びてきます。

 そして、髙橋教授は、ドーパミン神経細胞をiPS細胞から作り出すことに成功。さらに、さまざまな基礎研究、動物実験などをクリアし、実際にパーキンソン病の患者に試して安全性や効果を確認する治験が始まった(←いまココ)のです。

神経細胞だけを選別する手法を開発

 2005年に世界で初めて、ヒトと同じ霊長類でES細胞移植によるパーキンソン病症状の改善に成功したのが髙橋教授でした。カニクイザルのES細胞から分化させたドーパミン神経を、パーキンソン病のカニクイザルの脳に移植し、症状を改善させました。その後、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の樹立に成功したことで、ES細胞の研究を基にiPS細胞を用いた臨床応用への研究を進めることになります。