ところが、「パーキンソン病の患者は、ドーパミン神経細胞が減少し、作られるドーパミンが少なくなっている」と髙橋教授。ドーパミン不足で、脳からの指令がうまく伝わらなくなり、思うように体が動かなくなってしまうのです。
ドーパミン量は加齢とともにゆるやかに減少することが分かっていますが、これはドーパミンを生み出すドーパミン神経細胞が減っていくため。パーキンソン病ではこの細胞の減少が急激に起こるのです。

原因不明、脳に異常なたんぱく質が溜まる
なぜ、ドーパミン神経細胞が減少するのか。その原因は、まだ完全には解明されていません。ただ、パーキンソン病の患者の脳には、「レビー小体」というたんぱく質のかたまりができていることが知られています。このレビー小体は主にαシヌクレインという異常なたんぱく質で、髙橋教授は「このたんぱく質がたまると神経細胞が減り、正常な場合の4分の1くらいまで減ってしまうと体に症状が現れる」といいます。つまり、体に症状が現れるころには、すでに神経細胞は4分の1までに減っているというのです。
薬で一時的にドーパミン量を増やせるが……
パーキンソン病には治療法がないわけではありません。現在、大きく2つの方法が用いられます。1つは、薬を飲むことでドーパミンを補充する治療。L-ドパ(レボドバ)というドーパミン前駆物質を体内に入れ、ドーパミン量を増やすのです。「ただし、ドーパミン神経細胞がないと、L-ドパはドーパミンを作れない。そのため、パーキンソン病が進行してドーパミン神経細胞が減ってしまうと、薬が効かなくなる」と髙橋教授。
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