世紀の大発見!と言われたiPS細胞の発見から今年で10年。その節目の年に、京都大学iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)に、新しく第3研究棟が完成しました。普段なかなか見ることのできないCiRAの内部がいったいどうなっているのか、今、CiRAでは何が行われているのか。今回はちょっとワクワクしながら訪れたCiRA研究棟の「いまココ」リポートをお届けします。
もうそんなに経つの?─ヒトのiPS細胞の発見から今年で10年と聞いて、そう思った人は多いはず。山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したのが5年後の2012年で、あのときの盛り上がりがあまりにも強烈で、つい最近のように感じてしまうのかもしれません。とは言え、再生医療の現場を取材して感じるのは、たった5年で? たった10年で? という驚き。iPS細胞を取り巻く環境や再生医療の現場では、さまざまなことが想像以上の早さで進んでいます。
わずか7年で、十数人から600人態勢へ

京都大学の敷地内に、iPS細胞専用の研究施設(現・CiRA)がオープンしたのは、2010年。マウスに続き、ヒトのiPS細胞の作製に成功したことが発表された、わずか3年後のことです。その5年後に第2研究棟が、そして、7年後の今年(2017年)に第3研究所が完成。開設当初はわずか十数人だった研究員も、今では600人以上に増え、多くの人がiPS細胞の研究に携わっています。
CiRAを率いる山中教授は、「多くの方々の支援でここまで来ることができました。本当に素晴らしい施設ができたと思います。ですが、私たちは長い道のりのまだ半分にもたどり着いていない。ここからさらに多くの研究を進めていき、また企業とも積極的に連携して広げていきたい」と語ります。
iPS細胞をつくり出す、最新の細胞調整室
新しくできた第3研究棟は、地下2階、地上5階建て、延べ床面積7673平方メートルの大きな研究棟で、本館と呼ばれる第1研究棟の東側に位置し、渡り廊下でつながっています。木目調で落ち着いたムードのエントランスを抜けると、1階と2階はFiT(フィット)と呼ばれる細胞調整施設で、3~5階はオープンラボスタイルの研究スペースが広がり、培養室も設置されているといいます。
最大の特徴は、細胞調整施設のFiT2が充実しているということ。iPS細胞をつくるための細胞調整室が8つもあり、本館のFiT1に比べてはるかに広大で、より多くのiPS細胞を作製できるといいます。また、つくった細胞の安全性や有効性を確認するために行う、汚染検査や遺伝子解析などの検査を行う設備も充実しています。
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