「売れないことは変だと考えてほしい」

成功体験から完全に逃れることができない。

鈴木:例えば、我々のところでは「単品管理」をやっています。売れる商品というのは、変化しながらも、上位の商品に集中しているわけです。ですから、毎日毎日の商品の動きを細かく、ずっと見続け、上位の商品は店に切らさないようにし、売り上げが伸びる土曜日曜には特に力を入れる。

 ただ、データを見るといっても、たくさんそろえた商品が量的に売れるのは当たり前なんですね。10種類の弁当を出したとすると、上位4番目の商品ぐらいまでは爆発的に売れる。ところが、その間に、6、7番目の商品がだんだん伸びていることがあるんです。それは細かく見ていないと、伸びていることが分からない。ところが、どうしても結果に目を奪われてしまうんですね。先週はこれが売れた。今週も、その上位商品だとなってしまう。

リスクを踏みたくないという心理が動くのですか。

鈴木:リスクというより、みんな結果を欲しがるんです。無意識のうちにね。「数字はあくまで結果と考えろ」と言っているんですが、みんな、どうしても具体的な結果が出たものを追いたがるんですよ。

今のような環境だと、前年並みの成績を確保するのさえ難しいから、余計に結果にこだわってしまう。

鈴木:3年前(1991年)の今頃だったら、売り上げは悪くても4〜5%伸びていました。ところが最近は1〜2%。場合によっては、前年(1993年)を割るようなことがある。みんな肩に力が入ってくる。それでも肩に力を入れないで、地味なことをきちんとやっていく。それが基本なんです。基本に徹すれば、結果は出ます。

 ただ、私も社員に発破をかけながらも、人間が変わるのにはどうしても時間が必要だと感じているんです。だからこそ言い続けていかないと。どの会社もみんな悪いんだから自分も仕方がないや、となってしまうと困るんです。売れないことはおかしいんだと考えてもらわないと。

 業界全体の売り上げが仮に1割落ちた時に、みんなが同条件で1割落ちなくちゃならない理由は何もないんです。環境が変わったのだったら、やり方を変えなければいけない。より地味な、より基本的なことを積み重ねて、やっていかないと。

「バブルの時にもっと変わっていれば」

だからこそ常に言い続けていかなければならない。こうしたことは過去にも経験がありましたか。

鈴木:何かの局面にぶつかった時は、必ずそうですね。しかし、何かにぶつかってから、そこで跳ね返されて、また考えるというのでは、時間もエネルギーもロスがある。そういうことのないようにと、セブン-イレブン・ジャパンでも、ヨーカ堂でも、ずっと業務改革をやってきたわけです。でもフォローの時は良い結果が出てしまうからダメなんですね。バブルの時代に、もっともっと変わっていれば、新しい事態にぶつかった時に自分で方向を変えられるはずなんですけどね。

業務改革はまだ不十分だというわけですか。

鈴木:そうです。だから自分でも反省し、今も業革を言い続けているのです。一番難しいのは、みんな一生懸命なんですね。だから逆に始末が悪い。自分はさぼっている、適当にやっていた、というのだったら、ある日、ぱっと変えられるのですが。