1993年10月27日の会議では、「菓子需要が伸び悩み、メーカーと味、品質の向上を検討している」と商品部の幹部が最近の売れ行き動向と、セブンイレブンの対応策を発表。すると鈴木氏は、「消費者の間食の取り方が変化しているのではないか。ここを徹底的に探れ」と新たなテーマを投げかけた。

 月曜には役員会があるほか、ヨーカ堂社長として、ヨーカ堂の会議にも出席しているため、勢い鈴木氏の1週間は会議漬けに終わる。それでも「顔を合わせて話し合う“ダイレクトコミュニケーション”に勝るものはない」と、会議漬けも必要悪と割り切っているふうだ。

 全国に散らばるOFCを毎週集めるのに必要な交通費やホテル代は年間15億円近くに達する。それでも、「自分が経営に責任を持っている限り、週に一度のOFC会議を中止するつもりはない」と言い切る。

どんな案件にも白黒だけはつける

 “即断即決”が鈴木氏の真骨頂である。「判断を間違えたと思ったら、直ちに訂正すればよいじゃないか。朝令暮改は恐れない」と言ってのける。

 役員の一人は、「鈴木会長が腕組みして考えている姿を会議の席で見かけたことはない」と言う。どんな案件にもとにかく白黒だけははっきりつける。ほかの社員が決定の理由を聞いても、「ダメなものはダメ」で終わってしまうこともある。

 「決断した内容の70%ほどが当たっていれば、なるほどな、ということで皆はついてきてくれる。それがリーダーシップというものだ」。鈴木氏はトップとしての条件を、数字をあげて説明する。「その時の状況に合わせて自分の頭で考え抜く。過去の経験に頼っていてはいけない」。

 ある役員は「数多い会議は、鈴木会長の考え方をさまざまな立場の社員に直接伝え、その方針を徹底していくための手段」と説明する。鈴木氏が会議などで問題提起するのは、突き詰めれば「コンビニとは何か」である。

 創業当時、来日した米サウスランド社(米国でセブンイレブンを展開)の幹部は「長時間営業こそがコンビニの本質だ」と説明した。ところが時代が変化し、長時間営業だけでは消費者を引き付けられなくなると、弁当など様々なコンビニ専用の商品の開発が本格化した。商品による差異化は、今では世間の認知度の高いNB(ナショナルブランド)商品にまで及ぶ。

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